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米中貿易戦争、日本はかすり傷? 「グローバル化の黄昏」衝撃は未知数

10/10(水) 12:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

エスカレートする米中貿易戦争。世界の二大経済大国が深手を負えば、日本企業にも悪影響が及びかねない。そう心配する声が広がっていたが、ここにきて専門家の間では「当面はかすり傷で済みそうだ」という分析が目立ち始めている。

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上場企業の経常利益減「1%以下」

「極めて限定的な影響しかありません」

米中の関税引き上げの応酬が日本企業に与える短期的な悪影響について、こんな見方を示すSMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストの試算を代表例として紹介する。

アメリカが中国に課した追加関税の対象となる中国からアメリカへの輸入品総額は年2500億ドル(約28 兆円)にのぼる。日本企業への影響としてまず考えられるのは、多くの生産拠点がある中国からアメリカへの輸出がどれだけ減るかだ。牧野氏によると、日本の主な輸出企業の中国現地法人からアメリカへの輸出は3000億円規模。これらの法人の連結売上高合計のわずか0.1%にすぎないという。

2012年、尖閣諸島の領有権を巡る日中間の対立が激化。対日感情が極端に悪化した中国では、パナソニックの工場設備が壊されたり、トヨタ自動車系やホンダ系の販売店が焼き討ちにあったりし、日本企業関係者に大きな衝撃を与えた。それ以降、自動車や電機をはじめとする国内企業は「中国リスク」を強く意識するようになり、生産拠点を他国へ分散させる傾向が加速した。

今回の米中貿易戦争を受け、富士通ゼネラルが中国でのアメリカ向けエアコンの生産をタイに移すなどの動きも報じられたが、ほとんどの有力メーカーは静観の構えだ。

このほか中国企業の対米輸出が減ることで、部品などの調達先である日本企業との取引も減るマイナス効果がありえる。逆に、高関税のハンデを負う中国企業から日本企業がアメリカで市場を奪うプラス効果も期待できる。

こうしたマイナス、プラス両面の効果を総合して牧野氏が試算したところ、日本の上場企業全体の連結経常利益を押し下げる効果があるものの、鉄鋼、非鉄、電機といった影響が比較的大きい業種でさえ「1%以下」だと結論づけた。

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最終更新:10/10(水) 12:28
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