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香港で行政長官が施政方針演説 ランタオ島東部の埋め立て、国家安全条例の環境整備など

10/11(木) 19:46配信

みんなの経済新聞ネットワーク

林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官が10 月10日、施政方針演説を行った。演説内容は住宅から教育まで幅広い項目についてカバーしているが、最大の注目は大嶼山(Lantau Island)南東部の大規模な埋め立てによる再開発。併せて、これまで否定的だった国家安全条例の制定に向けた環境整備を進めるとした。(香港経済新聞)

 2017年7月1日に行政長官に就任した林鄭行政長官にとっては2度目の施政方針演説。今回のテーマは「堅定前行 燃點希望(Striving Ahead Rekindling Hope)」と、昨年と同様に香港が前進し続けていくための政策を策定した。

 今回最大の政策といえるのはランタオ島近くの大規模な埋め立て。香港政府の長期ビジョン「香港2030+(Hong Kong 2030+)」を本格的に推進することを発表した。従来の計画では坪洲(Peng Chau Island)東部にある(交椅洲/Kau Yi Chau)という小島を中心に1000ヘクタール埋め立てた大規模な人口島を造り、そこに住宅や商業施設を作る計画だったが、「団結香港基金(Our Hong Kong Foundation)」は2200ヘクタールまで拡大することを提言。それらを受けて施政方針では、交椅洲に加えて、その近くある喜靈洲(Hei Ling Chau)という島周辺にも700ヘクタールの人口島を造り、合計1700ヘクタールを造成するとした。この人口島とランタオ島、堅尼地城(Kennedy Town)などを道路でつなげ、地域間交流を促して経済活動を活発させる。現在、ランタオ島には12万4000人が住んでいるが、人口島だけで70万~110万人の住民が住めるようになり、34万人分の雇用も生まれるとした。この計画は別冊のパンフレットを施政方針に合わせて作るほどの力の入れようだ。

 交通では、中環(Central)と紅●(Hung Hom)間のフェリー路線の復活、啓德(Kai Tak)、紅●、尖沙咀東(Tsim Sha Tsui East)、西九龍(West Kowloon)、中環を回る水上タクシーのテスト走行を始めたいとした。香港には約6万6000台のエレベーターがあるが、それの老朽化に配慮して25億香港ドルの補助金制度を設け、ビル所有者に対してエレベーターの入れ替えや補修を促す。

 雇用については、産休について現在の連続10週間を14週間にまで伸ばすことにした。出産による父親の休暇も3日から5日まで延長するなど、少子化が進む香港において、少しでも生みやすい環境を整備する。医療ではインフルエンザなどの流行性の病気についての予防接種ついては小学生は無料にすることにした。

 金融では、香港政府が推し進めている仮想銀行(バーチャルバンク)についての初めてのライセンスを2018年末から2019年頭にかけて発行する。携帯電話では、第5世代移動通信システム(5G)の基地局建設のため、香港政府の土地をオペレーターに適切な分だけ開放する。

 科学技術では「研究基金(Research Endowment Fund of the Research Grants Council)」に200億香港ドルを拠出するほか、「「研究配對補助金計劃(Research Matching Grant Scheme)」という計画を新たに作り、そこに30億香港ドルを投入。伝統的な強みである映画産業には、「電影發展基金(Film Development Fund)」に10億香港ドルの予算をつけ、人材の育成、映画製作、市場開拓に役立ててもらう。

 香港のミニ憲法である基本法の23条に基づく国家安全条例について、2003年に発生した大規模なデモの影響などから香港政府は制定を積極的に推進してこなかったが、国家を分裂させる者がいるとして、立法化に向けての社会環境の整備を努力、継続していくと明言した。一方、雨傘運動の原因となった行政長官選挙における普通選挙の実施については特に若者が求めている事は理解するものの、「現状を無視できない」という遠回りな表現で慎重な姿勢を示した。

 ●=石へんに勘

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