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世界同時株安 米金利上昇が世界に打撃 対中貿易戦争の悪化も懸念

10/11(木) 22:43配信

産経新聞

 【ワシントン=塩原永久】世界的な株安の連鎖の発端となった10日の米国での大幅な株安は、米国経済の強さが確認される中で起きた。景気の強さは連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げペースの加速につながる要因。そうなれば金融市場への資金の流れが鈍る可能性があるためだ。また世界的な貿易摩擦の悪化懸念も投資家心理を冷やしており、世界経済の減速も懸念されている。

 10日のニューヨーク市場のダウ工業株30種平均は史上3番目の下げ幅。朝方に発表された物価指標が堅調で、物価上昇加速への警戒感から米長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時3・24%台に上昇した。

 物価が上がると、FRBが利上げペースを速めて経済活動にブレーキをかけるとの観測が広がりやすくなる。9月下旬から10月初めにかけてダウ平均は高値を更新してきたが、利上げペース加速は豊富な緩和マネーを前提とした相場の潮目転換につながりかねない。市場では「利上げ加速への警戒感は依然として根強い」との声が聞かれる。

 ダウ平均は2月、1週間で2度も1千ドルを超す急落を記録した。このときも米長期金利の上昇がきっかけだった。

 一方、トランプ米政権が中国などに仕掛けた「貿易戦争」に、緩和の兆しがみえないことも相場を押し下げる要因となった。ムニューシン米財務長官は中国の人民元相場の下落を「注視」すると表明。米中の対立が為替政策をからめた展開に発展すると連想させ、きな臭さが漂う。

 国際通貨基金(IMF)は9日、貿易摩擦のリスクが増大していると分析し、世界経済の成長率予測を2年ぶりに引き下げた。欧州企業では、中国市場で収益を得る高級ブランドを中心に業績見通しの下方修正が相次ぎ、市場は通商摩擦の悪影響が広がる恐れを直視し始めている。

 米国のサンダース大統領報道官は大幅株安となった10日、「米経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は信じられないほどの強さだ」とする声明を発表。市場の動揺の抑制に懸命になっている。

最終更新:10/11(木) 22:43
産経新聞