ここから本文です

三浦貴大「監督の思いを丁寧に演じた」リアリティにこだわった「栞」

10/11(木) 8:01配信

MusicVoice

 俳優の三浦貴大が主演を務める映画『栞』の完成披露上映会が10日、都内でおこなわれ、三浦とともに共演の阿部進之介、白石聖、池端レイナと、映画でメガホンをとった榊原有佑監督が登壇。今作の撮影に込めた深い思いとともに、撮影の現場などを振り返った。

 本作は理学療法士として患者と向き合う主人公が、医療の現場で見られる様々な困難に悩み苦しみながら、希望を求めて前進しようとする姿を、医療の現場、家族とのつながりなどを通して描くストーリー。作品は4月におこなわれた『第8回北京国際映画祭』でワールドプレミア上映され、現地から様々な関心の声が起きた。

 今回、主人公の理学療法士・高野雅哉役を三浦が担当。その父の稔役を鶴見辰吾、妹の遥役を白石が務める。そして三浦が担当する患者の一人で、元ラグビー選手ながら試合中のアクシデントで脊椎損傷となり、胸から下の感覚を失った男性、藤村孝志役を阿部が演じる。また池原は雅哉の同僚で孝志の担当看護士となる柏木真里役を務める。他にも前原滉、池田香織、福本清三ら実力派、個性派俳優が集結している。

■リアリティを追求した作風、榊原監督の思いに忠実な意識で向き合った三浦

 元理学療法士の榊原監督が現場で経験した出来事をもとに、物語が描かれた本作。高校時代にスポーツと親しんでいた榊原監督は、元々スポーツトレーナーを目指していたが、学校の先生より“こんな道もある”と助言を受けたことがきっかけで、理学療法士という道に進んだ。

 一方、その道のりの中で「でもやってみると、患者とコミュニケーションを密とったり、責任のある仕事だというのを感じた」と実際の体験には様々な刺激を受けつつ、現場ならではの様々なハプニングを経験したことで「普通に暮らしているときは知る由もない現場のエピソードですが、これから高齢者社会を迎えるにあたり医療費削減とかいわれている一方で、たとえばこういう現場の医療行為が必要とされている中、こんな現状が知られるべきと考えた」と、映画により自身の思いを伝えることを決心したという。

 また榊原監督は「“こう言ったら盛り上がるんじゃないか”というものではなく、実際の病院で起きたことを入れていて、劇的にならないよう、リアリティにこだわっている」とその作風を明かしており、主演の三浦も「監督がこの作品に掛けた思いを、一つずつ丁寧に演じたつもり」と語り、榊原監督のポリシーに対して忠実に役柄を演じたことを明かしている。

 また今回、「半身が動かない」という役を演じた阿部は、この役柄に向き合うに当たり「心もだけど、連動してからだが動いてしまうこともあるので、それを動かないようにするにはどうしようかと、最初はそれを考えていました」とフィジカル面での演技に課題を感じていたことを明かしながら、理学療法士のスタッフや、榊原監督との助言、議論を通して準備段階から現場での確認を通して「実際に働かれている理学療法士の方や、脊椎損傷の方に対して嘘の無いように演じることを心がけました」と、登場人物と同じ経緯を持つ人々への敬意を、最大限に払いながら撮影に望んでいたことを振り返る。

 そんな徹底的に医療現場のリアリティを追求したこの作品を、榊原監督は「実際に日本のどこかで起きていることであり、見終わった後に、こういったことを考えてもらえれば」と作品に対して自身が込めた思いを合わせてアピールした。

■阿部との再共演に心躍らせた三浦

 大学ではスポーツ健康科学を専攻していたこともあり、知人には理学療法士として活躍しているものも多いという三浦。そんなきっかけもあり、三浦は実際に現場をその目で見た経験を振り返り、自身の想像以上に皆が強い思いで現場に向き合っているのを目の当たりにしたことで、今回の出演に関し「中途半端にはできないと思いながら、監督の思いを先に聞いて、その思いを表現したくて芝居をしてきました。すごく難しい部分もあったけど、一つひとつ丁寧にやっていくしかないなと。でも頑張りました!」と強い責任感を持ち、苦労の現場を乗り切ったことを明かす。

 榊原監督は、そんな三浦の真っ直ぐな姿勢に惚れ込み、本作の撮影に当たって「完成して改めて見ても思ったけど、最初から“三浦さんにやってもらうしかない”と思っていた」とその役者像を描いていたことを明かす。また阿部も「脚本を頂いたときに、(三浦が)出ると聞いていて、もうピッタリだなと。過去に共演したこともあったけど、そのときから真面目で男らしくて。何に対しても“自分で抱えて解決しよう”という男らしいところがあるので、その意味でピッタリでしたね」と三浦の性格を高く評価する。

 一方、元々共演時から阿部を、その演技に魅せられ「自分の演技の基盤となるもの」と尊敬していたという三浦は、今回の再びの共演を喜んでいる様子を明かしながら「いや~(今回も)阿部進之介、かっこいいなと」とコメント。阿部は照れ隠しに「お金を渡してますから」などとボケを入れ笑いを誘うと、三浦は「1回2000円もらってます」と続けながら「でも、共演できて本当に幸せだなと思いました」と本心を明かした。

■撮影から1年4カ月、時の流れを感じた白石 映画祭渡航で得意の中国語を発揮した池端

 榊原監督がこの作品の脚本を書いたのが、約4年前。撮影は1年4カ月程前の2017年の6月におこなわれた。撮影当時は高校生だった白石は、この日久々に榊原監督に対面。榊原監督は「“20歳になりました”と言われまして…」と語りながら、時の流れを感慨深く振り返った様子。

 まだ役者デビューしたばかりだったという白石は、当時が右も左もわからない状態での撮影だったことを振り返り「正直、今見返してみると反省点とか、そういう点を見つけてしまう。だけどちょうど撮影時は20代で、感じることも表現することも、そのときの自分が感じるものが嘘なく出たと思う」と、自身の役者としての軌跡を振り返る。一方、現場自体に関しては「落ち着く現場でした。三浦さんも監督も寡黙だけど、芯が温かいというか、優しくて穏やか。そういう意味で、安心できる現場でした」と良い環境での撮影であったことを回想する。

 対して池端は、医療の現場の人間という役柄は初めてで、その作品の主題などからも当初は出演に対して非常に不安もあったことを振り返りつつ「初日から三浦さん、阿部さんがすごく距離感が近いというか」と二人のフレンドリーな距離感に大きく助けられたことを回想しながら「カットがかかると、二人がすごく笑かしてくるんですよ。そんな和やかな雰囲気が良かった」とにぎやかな現場を思い返した。

 4月におこなわれた『第8回北京国際映画祭』でのワールドプレミア上映では、池端と阿部、榊原監督らが登壇。阿部は現地の反応に大きな手ごたえを感じたことを明かす一方で、それまで阿部自身と三浦が、池端に対して常にからかう様な態度で接していたことを明かしながら、中国語が堪能な池端に現地で様々に助けられていたことを振り返り「今までゴメン、って思った。最後の夜にご飯を食べるのに、すごく頼りました」と態度が一変したことを明かし、会場を沸かせる。

 今回は都合により映画祭に行けなかった三浦は「まだそんな中国語の話とか、今聞いたばっかりの話だから」と平然とした顔をしていたが、阿部はそんな三浦に「その話を聞いたら、“ゴメンなさい”って言うようになるから」と耳打ち、会場からの笑いを誘っていた。【取材・撮影=桂 伸也】

最終更新:10/11(木) 8:01
MusicVoice