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障害のある子が通う「放課後デイサービス」…多くの事業所が減収、廃止の危機も

10/11(木) 14:11配信

読売新聞(ヨミドクター)

今年度の改定 障害の重さで報酬に差がつき…

 障害のある学齢期の子どもが通う「放課後等デイサービス(放課後デイ)」が、今年度の報酬改定によって揺れている。利用する子どもの障害の重さに応じて事業所の基本報酬に差がつく仕組みになり、多くの事業所が減収になったためだ。事業者や保護者からは戸惑いの声も上がっている。(玉城夏子)

 鹿児島市の放課後デイ「学童支援ゆめの森」を訪ねると、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。「今日は工作をしましょう」と指導員の迫田美和さん(50)が呼びかけると、子どもたちは紙皿に絵を描き、飛ばして遊んだ。

 「ゆめの森」を利用しているのは、特別支援学校2校と小学校8校の特別支援学級などに通う小中学生42人。知的障害や発達障害があり、集団行動が苦手な子も多い。工作の輪に入らず、自分の遊びに没頭する子もいる。園長の花木 正斉まさなり さん(42)は、一人ひとりに声をかけて見守る。

 「放課後デイは、学校や家庭とも違う子どもたちの居場所。安心して遊べる空間にしたい」と花木さん。公園に行ったり、野菜を植えたり、様々な体験を通して発達を促す。最初は職員が付きっきりでみていた子が、友達と遊ぶようになったり、協力して何かを作ることを楽しむようになったりするそうだ。

報酬を高く…子の「できないこと」を強調するつらさ

 放課後デイは2012年の制度化以降、事業所の参入が相次いだ。一方で、DVDを見せるだけといったずさんな運営の事業所の存在が問題となり、厚生労働省は今年度、質の向上を目指すために、これまで一律だった報酬を見直した。

 新たな仕組みでは、障害の重い子を多く預かる事業所を「区分1」、軽い子が多い事業所を「区分2」と分けて、報酬に差をつけた。基本報酬は「区分1」は3~5%減、「区分2」は10~12%の減となる。

 「ゆめの森」には比較的重い子が多く、花木さんは「区分1」になると予想した。しかし、市から届いた通知は報酬の低い「区分2」だった。花木さんは再判定を要請。市が改めて保護者に聞き取りを行い、「区分1」となった。それでも新たな報酬体系では今年度は約100万円の赤字になりそうだという。

 市町村からの聞き取りを受けて落ち込む保護者もいる。10歳の息子が「ゆめの森」に通う母親(39)は「親としては『できるようになったこと』を喜びたいのに、『できないこと』を伝えないといけないのがつらい」と話す。

 花木さんは「支援の質を上げるための報酬改定のはずなのに、事業所にも保護者にも、市町村にも負担がかかっている。障害のある子どもたちの大切な居場所が保証される仕組みにしてほしい」と訴える。

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