ここから本文です

<北海道地震>歴史物語る建物も被害 再建の動き模索も

10/12(金) 8:15配信

毎日新聞

 胆振東部地震で、入植期の歴史を物語る貴重な建物も大きな被害を受けた。震度6強を観測した北海道安平町では、町の有形文化財に指定された複数の石蔵が倒壊。一部は既に解体されたが、地域のシンボルとして再建を模索する動きもある。

 「町の歴史がなくなっていく」。同町早来大町にある築約100年の石蔵が重機で崩されていくのを眺めながら、上田舞子さん(40)はつぶやいた。

 町史などによると、石蔵は当時の電力会社「勇払電灯株式会社」の本店として1919年に建てられた。44年ごろから病院として使用され、2008年に町が文化財に指定。約30年前から空き家となっていたが、レトロな雰囲気にほれ込んだ上田さんらが改装して昨年11月にカフェを開いたばかりだった。

 だが、地震で倒壊。所有者は直すことを諦め、町は文化財指定を解除する方針という。上田さんらは「本当に惜しい。ただ石蔵の最後をにぎやかなカフェで締めくくることができて幸運だった」と唇をかみしめた。

 同地区のコンビニ店経営、末平正幸さん(58)が所有する店の隣の石蔵も全壊した。曽祖父・雛次さんが米蔵として26年ごろ建てたとされ、08年に町文化財に指定された。商品のワインや日本酒の貯蔵に活用。コンサートを開くなど憩いの場でもあった。

 末広さんは「元の姿に戻したい。ただ自力での再建は難しく、どういう方法があるのか知恵を貸してほしい」と訴える。町教委は「町の予算で修復するのは難しいが、一部保存などの選択肢はありうる」としている。

 道内の歴史的建造物に詳しい札幌市立大の羽深久夫教授(建築史)は「全壊前の写真などがあれば、直せる建物も少なくない。撤去前に自治体に所有権を移し公費で復旧するなど、柔軟な判断も考えられるのではないか」と指摘した。【遠藤大志】

最終更新:10/12(金) 8:15
毎日新聞