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同性婚の弁護士カップルを描いて話題 ドキュメンタリー映画「愛と法」見ましたか?

10/12(金) 14:54配信

アジアプレス・ネットワーク

公私ともパートナー同士の弁護士、南和行さん(42)、吉田昌史さん(40)を主人公にしたドキュメンタリー映画『愛と法』が公開中だ。ヨーロッパを拠点に映像製作に携わってきた戸田ひかる監督(35)が、3年にわたって2人に密着した。(栗原佳子/新聞うずみ火)

◆少数者の苦悩に寄り添う

主人公の南さん、吉田さんは2011年、同性婚をしたカップル。大阪市内で「なんもり法律事務所」を共同経営する「弁護士夫夫(ふうふ)」だ。戸田監督が2人に出会ったのは、仕事で大阪を訪れた2012年。「ゲイの弁護士カップルであることを公言して活動し、弱いところも受け入れあう2人の姿はカップルとして理想的」と強くひかれたという。

2人の法律事務所のドアを叩く依頼者は、社会的に少数者とされる人たちが少なくない。戸田さんは「人として痛みを体験している彼らが扱う案件を通し、この社会で見えにくくなっていること、隠されていることが見えてくるのではなないかと思った」と振り返る。

戸田監督が特にスポットを当てたのは「無戸籍者裁判」「君が代不起立裁判」「ろくでなし子裁判」。法的に存在しないとされ、就学・就職の機会から疎外されることもある無戸籍者、「君が代」斉唱時に起立せよという通達を拒否して処分された教師、女性器をかたどった作品を「わいせつ物」とされ逮捕されたアーティスト――。少数者を切り捨て、自分らしく生きたい人を追い詰める社会の現実があぶり出される。10歳から海外で育った戸田監督のまなざしによって、それらの陰影がよりくっきりする。

◆家族とは何か

「家族」も映画の大きなテーマだ。法律上は他人同士の南さん、吉田さん「夫夫」。2人のもとに、居場所を失った少年が居候して始まる3人暮らし。一方、南さんが、講師を務める憲法カフェで、参加者から「血縁関係か法的根拠がなければ家族とは言えない」という言葉を投げかけられる場面もある。その南さんの母親も画面に登場する。かつて息子のカミングアウトに反発したという母親はいま、事務所スタッフとしても息子たちを支えている。南さんは「自分たちの普通の生活を見てほしい。どこか気づくところがあればうれしい」と話している。

渋谷・ユーロスペース、シネリーブル梅田、京都シネマほか、順次全国で公開。