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【栃木この人】県レッドリスト調査員・大川秀雄さん(69) 昆虫の世界は未知で奥深い

10/14(日) 7:55配信

産経新聞

 標本箱には茶褐色や黒っぽい昆虫がびっしりと並んでいる。1ミリ~2、3センチ。ゴミムシの仲間という。チョウのように決して美しいとは思えない昆虫にひかれ、今でも渡良瀬遊水地などに採集に出かける。

 「魅力ですか? 湿地など特殊環境に生息し、目や羽が退化するなど地域固有種が多いことでしょうか。名前の付いた昆虫はごくわずかで、奥が深く、未知の世界が広がっていますから」

 物心がついた頃から、チョウやトンボを捕まえ、自然と昆虫の世界に浸るようになった。高校卒業後に就職し、経済的余裕もできたことから本格的に昆虫採集に没頭。休日には電車やバスを乗り継ぎ、足利周辺、足尾や日光に足を運び、日本甲虫学会、とちぎ昆虫愛好会など県内外の愛好団体に所属し、研鑽(けんさん)を積んだ。

 学会誌などにこれまで約300件の採集報告が掲載された。約40年前、栃木市内の洞窟で友人と新種のホラアナサラグモを発見し、学名に「ohkawai」と初めて自分の名前が入った。以来、オオカワメクラチビゴミムシなど学名の中の種名に計12種、命名者表記としてもオオズナガゴミムシなど計4種に自身の名前が含まれる。

 昆虫に関する豊かな知識と確かな目が広く知られ、県自然環境調査(レッドリスト調査)に早くから加わり、レッドデータブックでは昆虫約50種について執筆。足利市をはじめ旧黒磯市、旧藤岡町、群馬県館林市からも依頼され、自然環境調査や市町史、ガイドブックの編集にも携わった。

 退職後はほぼ毎日、昆虫採集に出かける。「地中に生息する新種のゴミムシ」を求めて、現場で地面を深く掘り、専用のトラップを仕掛ける。妻、よし子さん(68)との旅行は車が基本で、自然環境の優れた場所に車中泊し、旅先でも昆虫を追い求める。「探すのは大変、だから面白い」とその魅力を口にする。

 地球温暖化の影響でチョウの仲間・ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハが北上し、10年前から足利でも見かけるようになった。2年前、外来種クビアカツヤカミキリが初めて足利で発見されて以降、急速に生息域を拡大し、隣接する佐野市のモモ生産農家、周辺の桜並木に深刻な影響を与え始めている。

 「今後、在来種、自然環境への影響が心配で…」。最大の懸念でもある。(川岸等)

最終更新:10/14(日) 7:55
産経新聞

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