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米の対日「為替条項」要求、新たな火種の可能性

10/13(土) 22:07配信

産経新聞

 ムニューシン米財務長官は13日、日本との新しい通商交渉で、為替介入をはじめとした競争的な通貨切り下げを防ぐ「為替条項」を要求する考えを示した。インドネシア・バリ島で記者団に語った。日本政府は通貨政策や金融政策を縛られるため受け入れがたく、日米交渉の新たな火種になる可能性が出てきた。

 日米は9月、安倍晋三首相とトランプ米大統領の首脳会談で、農産物や工業製品の関税引き下げに向けた「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉開始で合意した。ムニューシン氏は今回、この交渉に絡み、「今後の貿易協定に(通貨安への誘導を禁止する)為替条項を盛り込むことが目標だ」と発言した。

 米商務省の8月の発表によると、1~6月期のモノの貿易での対日赤字は前年同期比2・9%増の352億9800万ドル(約3兆9600億円)。トランプ米政権は中国などと並んで日本の貿易赤字を問題視しており、為替条項を武器に、赤字削減に向けた圧力を強めることが予想される。

 ムニューシン氏が念頭に置いているとみられるのが、米国が9月末までにカナダ、メキシコと北米自由貿易協定(NAFTA)見直しで合意した、新たな「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」だ。同協定には、為替介入を含む競争的な通貨切り下げの自制が明記された。

 また、米韓首脳が同月署名した米韓自由貿易協定(FTA)の改正案も、通貨安の誘導禁止を付属文書に盛り込み、為替政策の透明性と説明責任を求める内容となっている。

 だが、為替条項が取り決められれば、日本政府は、自国経済を防衛するための政策手段が限られる。経済情勢の変調で円高ドル安が急速に進んでも、円安誘導のため円を売ってドルを買う為替介入は難しくなる。日銀も景気下支えのための金融緩和策が日米の金利差拡大による円安につながるため、打ち出しづらくなる。

 米国との交渉では農産品の市場開放圧力も強まることが予想されており、日本は苦しい立場に立たされそうだ。(ヌサドゥア 西村利也、山口暢彦)

 為替条項 一方の国が自国の輸出競争力を高めるため、為替介入などを通じて自国通貨安に誘導することを禁止した貿易協定などでの取り決め。意図的な通貨安と認定されれば、もう一方の国は、関税引き上げなどにより報復措置を取ることが認められる。

最終更新:10/13(土) 22:07
産経新聞