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米の保護主義 多国間連携で対抗

10/13(土) 22:10配信

産経新聞

 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉参加国が年内の実質妥結を目指すのは、米国の保護主義的な姿勢に、多国間の枠組みで対抗したいとの思惑からだ。ただ、米国が主導した北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では、中国を念頭に非市場経済国との自由貿易協定(FTA)締結を阻止する条項が盛り込まれた。米国は来年にも始まる日本との物品貿易協定(TAG)交渉でも同様の措置を要求する恐れがあり、中国を含むRCEPの実現が脅かされる。

 「NAFTA再交渉の結果は残念だが、RCEPとは直接関係ない」。RCEP交渉を担当する経済産業省の幹部はこう強調する。だが、米国がNAFTA見直しの勢いに乗り、TAG交渉でも攻勢を強める可能性は高い。米国の対中強硬姿勢がRCEP交渉に影響を与えないためにも、年内妥結が重要となる。

 米国は9月末までにカナダ、メキシコの両国とNAFTA再交渉でそれぞれ合意したが、自動車の対米輸出規制や自国通貨の安値誘導を禁じる為替条項を盛り込み、管理貿易色が強い内容だ。またトランプ米政権は自動車の輸入制限も検討するなど、保護主義的な政策を相次ぎ打ち出す。

 自動車輸入制限を回避するため、日本は米国とのTAG交渉入りで合意した。だが、米国に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰を促すなど、多国間の枠組みを重視する基本戦略に変わりはない。

 日本は米国を除く11カ国によるTPP11や、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)を来年にも発効させたい考え。さらにRCEPを妥結に導き、米国包囲網を築く構えだ。いずれにも属さない米国産品が市場で不利になり、米国が多国間の枠組みに復帰する機会になるとみている。

 ただ、RCEP交渉は、広範な関税削減や高水準のルール作りを求める日本やオーストラリアと、自国産業を保護したい中国やインドとの間でなお隔たりがある。参加国は11月に開かれる首脳会合での実質妥結を目指すが、「年末ぎりぎりまで交渉は続く」(政府関係者)との見方もある。(大柳聡庸)

最終更新:10/14(日) 1:06
産経新聞