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京都市の「オーバーツーリズム」の具体策は? 宿泊施設不足や郊外への分散化まで責任者に対応を聞いてきた

10/13(土) 12:08配信

トラベルボイス

オーバーツーリズムを考える京都取材(連載第2回)

日本政府は訪日外国人旅行者4000万人、6000万人を目指している。地方への誘客を進めることで、全国への需要分散化を目論むが、それでも、分母が多くなれば、それだけ京都を訪れる旅行者も増えていく。ファーストタイマーはやはり金閣寺や清水寺に行くし、多様な京都の魅力を体験しきれなかったリピーターも再訪するだろう。

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第1回の『京都深掘り取材』で門川大作市長が課題として挙げた「オーバーツーリズム」への対策、街づくりのひとつとしての「民泊」。第2弾の今回は、具体的な取り組みについて、産業観光局観光MICE推進室MICE戦略推進担当部長の福原和弥氏に聞いた。

オーバーツーリズムの問題意識を明文化、地域への分散を促す

京都市は今年5月、2014年に策定した「京都観光振興計画2020」をアップデートした。この4年間で京都市の観光政策を取り巻く環境が大きく変化してきたためだ。外国人宿泊客数年間300万人、観光消費額年間1兆円という目標を前倒しで達成する一方で、さまざまな課題も顕在化してきた。

そのひとつがオーバーツーリズム。

修正された「京都観光振興計画2020+1」では、市民生活と観光の調和を謳い、「外国人観光客の急激な増加とマナー問題」「無許可民泊施設の増加」「観光客の集中と混雑」を課題として挙げた。「これまで、オーバーツーリズムについて口にすることはあったが、しっかりと計画の中で明文化したのはこれがはじめて」と福原氏は明かす。

集中と混雑の対応については、時間、季節、場所の3つの分散化を進めていく方針。そのひとつの施策として、「ゆったりとした雰囲気で京都を楽しんでほしい」(福原氏)というコンセプトで『とっておきの京都、定番のその先へ』というプロジェクトを新たに始動した。そのなかで特に2つのエリアに焦点を当て、観光客の分散を進めていく。

まず、京都駅南側の伏見エリア。伏見稲荷大社は外国人旅行者が大挙して押し寄せるが、その周辺にはほとんど足を運ばないという。このエリアには、地元の酒蔵や賑やかな大手筋商店街などがあることから、外国人旅行者への訴求力は高いとして、伏見稲荷大社を訪れた外国人を回遊させる取り組みを始めた。

また、京都市では近畿圏からの日帰り日本人旅行者が近年減少していることに危機感を強めており、改めて寺田屋など幕末動乱の舞台としての伏見をアピールしていくことで、京都近郊からの旅行者の呼び込みにも力を入れていきたい考えだ。今年8月には、地元商店街、保勝会、酒蔵、観光協会などとプロジェクトチームを立ち上げ、具体的な取り組みについて議論を始めたという。

2ヶ所目は大原。昭和40年代には京都市のなかでも人気ナンバーワンの観光地で、若者の間で大原旅行は流行のひとつとなっていたが、現在は全盛期の3分の1ほどに減少しているという。京都の里山として、四季折々の風景が楽しめ、地元で採れる野菜も大原ブランドとして人気で、三千院や宝泉院など見どころも多い。しかし、問題はアクセスだ。京都駅からだとバスで1時間ほどかかってしまううえ、時間帯によっては渋滞に悩まされることもある。

そこで、京都市では、よりスムーズなアクセス方法として、地下鉄とバスが乗り放題になる「地下鉄・バス1日乗車券」の活用を国内外の旅行者に呼びかけている。大原へは地下鉄烏丸線の国際会館駅まで行き、そこからバスに乗り換え20分ほどでアクセスすることが可能。地下鉄は運行頻度も高く、渋滞も心配する必要がない。「地下鉄・バス1日乗車券」は今年3月に1,200円から900円に値下げされた。そもそもは混雑するバスから地下鉄の利用を促すための値下げだが、「近郊へのアクセスでも有効利用してもらいたい」と、今後PRを強めていく考えだ。

このほか、大野原、山科、京北などのエリアへの誘客も進めていきたい考えだが、観光素材がまだ未熟なことから、行政の取り組みとしては「まずはコンテンツ開発を進める事業者への支援がメインになる」という。

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最終更新:10/13(土) 12:08
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