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女子学生が匿名で同級生の学費を3年間援助 中国・武漢

10/13(土) 10:50配信

東方新報

【東方新報】今年の新学期、学費支払いシステムに不具合が生じなかったら、中国・武昌工学院(Wuchang Institute of Technology)4年生の袁松齢さんは、自身の学費を3年間援助していたのが同級生の李秋雨さんだったと知ることはなかっただろう。

 ■言葉が出ない対面の時…匿名の支援者突然姿を現す

 武漢市(Wuhan)武昌工学院会計学部の事務所で9月20日午前、袁さんは初めて、3年間学費を援助し続けてきた李さんと顔を合わせた。袁さんは2年来、心の中で「ありがとう」を何回言ったか分からない。

  実際に恩人を前にしたとき、胸が詰まってしまい、何も言葉は出てこない。李さんは、ただ黙ってうなだれている袁さんの手を取り、柔らかい声で「何も言わなくていいわ」といい、手と手をつなぎ合って久しく放さなかった。

 2人が顔を合わせることになったのは、意外なきっかけによる。

  これまで、袁さんへの援助の支払いは、李さんが学校の補導員から袁さんの学費支払い専用口座番号を聞き、学校のインターネット支払システム上で学費を支払って来た。

 ところが今年、学校のシステムがバージョンアップしたことで、袁さん専用の口座は使えなくなっていた。李さんは何日も試みたが、うまくいかない。学費の送金が遅れれば袁さんに心配をかけるので、補導員に現金を手渡してもらうよう頼んだ。

 だが、補導員は金額が大きいことを理由に受けてくれない。李さんはやむなく、ウィーチャットで袁さんのアカウントに学費を送金した。こうして袁さんは、長年援助をしてくれていた恩人が、実は同じ専攻で同じ学年の別クラスの李さんだったことをようやく知るに至った。

 ■毅然とした援助の手 家庭会議が運命を変える

 袁さんが在籍している学部の一年の学費は、雑費と合わせて約1万7800元(約29万円)だ。袁さんが入学した2015年は、実家のある福建省武夷山(Wuyishan)の慈善機構から1万元(約16万3000円)の援助を得て、これに、地元政府から3000元(約4万9000円)の補助と、親せきなどからもかき集め、ぎりぎり必要な費用を工面した。

 16年、袁さんが2年生になる時に、実家が困窮。中秋節の前に退学手続きをし、実家に戻る列車に乗った。

「両親とも身体障害者。家には小学校に通う弟がおり、畑で採れるわずかばかりの作物と父親のアルバイトで暮らす毎日」と袁さんは語る。地元から支給される奨学金は6000元(約9万8000円)、学校からの奨学金を合わせてもまだ足りない。

「学校の先生は何回も、何とかするから退学だけはしないようにと言ってくれた。父からも続けるように言われたが、3年間の学費は、我が家にとっては天文学的数字だったので諦めるしかなかった」という。

 袁さんの退学の一幕は、まもなく補導員助手をしていた李さんの知るところとなる。袁さんが退学後、補導員から状況を聞いた李さんは、非常に惜しいことだと考え、同じ日の夜のうちに、広州で働いている父親と連絡を取り相談をした結果、袁さんが最後まで学業を全うできるように援助することを決めたという。

 16年の中秋節の後、李さんは父親と共に補導員に対し、袁さんの学費として2万元の現金を渡し、余分なお金は袁さんの生活費として充てるよう依頼するとともに、今後3年間の学費負担を約束した。父子は、援助者が誰なのかを絶対に袁さんに教えないよう補導員に依頼した。「彼女の自尊心を傷つけないためにも、匿名にすれば、袁さんの心理的圧力が軽減できると考えました」と語った。

 ■恩人が分からないままつづった感謝の手紙

 袁さんは2年来、援助者の情報を知ろうとしたが、補導員が李さん父子との約束を守ったため、真実を知ることはなかった。この間、袁さんは毎年一回、宛先の無い感謝状に1年間の学習状況と感謝の気持ちをつづった。

 袁さんは、「恩人を探し出すことができなかったので、感謝状を書いて補導員に手渡してもらうしか方法は無かった、頑張って勉強をして良い仕事について恩返しをしたいと思う」と語った。(c)東方新報/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。

最終更新:10/13(土) 10:50
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