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ピノが独走でイル・ロンバルディア初制覇 チヴィリオでニバリを突き放し前年の雪辱

10/14(日) 7:00配信

Cyclist

 イタリア北部のロンバルディア州を舞台にしたUCIワールドツアーのワンデーレース、「イル・ロンバルディア」が10月14日に開催され、ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)がラスト14kmを独走して、同大会初優勝を飾った。ピノはワールドツアーのワンデーレース初優勝。2位にはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、3位はディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)だった。



昨年の再現のマッチレース 昨年と逆の結果に
 ピノが昨年大会の雪辱を果たした。ラスト18kmからの「チヴィリオ」の上りで、マッチレースとなった昨年2位のピノと、昨年優勝のニバリ。クライマックスはまさに昨年の再現だった。昨年はテクニカルな下りで、ニバリがピノを振り切ってそのまま優勝した。今年はピノが、頂上を前にニバリを突き放すアタックを決めた。

 ヨーロッパのロードレースシーズンの最後を飾るイル・ロンバルディアは、別名「落ち葉のクラシック」とも呼ばれる。数あるクラシックレースの中でも特に古い歴史を持つ「モニュメント」の1つとされ、ミラノ~サンレモ、ツール・デ・フランドル、パリ~ルーベ、リエージュ~バストーニュ~リエージュとならんで、高い格式を誇る大会だ。
 今年はベルガモをスタートし、コモに至る241kmのコースが設定された。毎年コースは変化しているが、登坂力とスピードが重要となるのは変わらない。今年は終盤180km地点からの、マドンナ・デル・ギザッロ、コルマ・ディ・ソルマーノ、チヴィリオの、3つの登坂区間が勝負どころと目された。

 レースは序盤の攻防から、プロコンチネンタルチーム勢4人を含む8人の逃げが形成された。逃げは5分程度の差を築くものの、後半徐々にタイム差を減らしながら、いよいよ勝負どころとなるマドンナ・デル・ギザッロ(登坂距離8.58km、平均勾配6.2%、最大勾配14%)の上りへと差し掛かった。逃げとメイン集団との差は2分台まで縮まっていた。



ログリッチェがソルマーノで攻撃
 マドンナ・デル・ギザッロでは、逃げに唯一2人を送り込んだバルディアーニ・CSFの、ウンベルト・オルシーニ(イタリア)が積極的な走りを展開。これにより先頭の人数は4人に絞られた。オルシーニはさらに上り頂上近くでアタックし、“サイクリストの聖地”と呼ばれるギザッロ教会そばを単独先頭で通過した。
 メイン集団でも動きが活性化し、たびたび追走グループが飛び出しては、チャンピオンチームのバーレーン・メリダが牽引する集団に吸収されていく。集団のペースは上がり、人数を減らしながら、先頭とのタイム差を縮めていった。
 頂上を越えて集団は再び4人に戻ったが、集団も逃げ集団から1分を切るタイム差まで迫っていた。息をつかせず始まるコルマ・ディ・ソルマーノの上りは、全体としては7kmあるが、終盤の1.92kmが平均勾配15.8%、最大勾配27%という「ソルマーノの壁」と呼ばれる難関だ。

 ソルマーノではアプローチの上りから、ロットNL・ユンボがメイン集団先頭を占めて攻撃に出た。選手6人が集結し、全開でペースを上げては離脱していく。メイン集団はあっという間に逃げの4人を全員吸収し、なおもペースを上げて集団を絞っていった。
 コースが狭くなり、いよいよソルマーノの壁へ突入したところで、満を持してプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)がアタックを敢行した。力強い走りで集団から約10秒の差を築き、急勾配区間を先行していく。20人程度となったメイン集団は、ニバリのアシスト、フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)がペースを作る。世界チャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)も集団内に落ち着いて控えている。

 頂上が近くなった急勾配区間で、ついにニバリが動いた。集団からアタックして抜け出すと、これに反応できたのはピノのみ。2人はすぐにログリッチェに追い付き、追い抜いて大観衆の中を頂上へと向かう。メイン集団では有力選手も何人か厳しい状況。集団から若干遅れかけていたロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)は、観客と絡んで落車し、上位進出は難しい状況となった。
天才ベルナルが先頭に加わるもニバリ対ピノに
 ソルマーノの壁を越えると、テクニカルで長い下りが待ち構える。前を行く2人には、下りでログリッチェが合流。さらに後方から21歳の天才、エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ)が、単独で先頭に追い付くことに成功した。

 メイン集団はEFエデュケーションファースト・ドラパックのアシスト、ダニエル・マルティネス(コロンビア)が追走の牽引を担うが、先行する4人のチームメートが多くメイン集団に残るため、組織だった追走にはならない。特にバーレーン・メリダは、ペリツォッティ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)、ヨン・イサギレ(スペイン)の3人がまだ集団に残っており、ニバリへの援護体制は万全だ。
 下りきってからの区間は、急な上りはないものの、カーブとアップダウンが続く。先頭ではやはりニバリとピノが快調。しかし4人の体制は崩れないまま、チヴィリオ(登坂距離4.2km、平均勾配9.7km、最大勾配14%)の上りを迎えた。
 上りではピノが積極的なペースアップを繰り返し、まずログリッチェが後退。ベルナルは遅れては追い付くを繰り返すが、何度も続くピノのアタックに、ついに後方へと消えていった。後方のメイン集団でも有力選手のアタック合戦となり、バルベルデらが後退していった。



ピノがモニュメント初制覇
 昨年の再現となったニバリとピノの対決。なおもアタックを繰り返すピノに対して、ニバリは落ち着いて完璧に反応。結果も昨年の再現となるかと思われた。しかし頂上まで数百mとなったとき、ニバリが突然失速した。これを見たピノがすかさずアタック。ニバリはこれに反応できないばかりか、ボトルの水をかぶり始める。冷静に見えたニバリだったが、ピノの波状攻撃で、完全にオーバーヒート状態となっていた。ニバリはチヴィリオに至る区間でのボトル補給に失敗しており、これが響いた形だ。



 上り頂上を単独先頭で越えたピノは、昨年遅れたチヴィリオの下り区間へ。苦手とされるテクニカルな下りも積極的にこなし、逆にニバリからのリードを広げることに成功した。ニバリはニュートラルバイクにボトルを要求するものの、ゴールまで20kmを切って補給不可の区間となっているため、要求は聞き入れられない。じりじりとピノとの差は広がっていった。

 後方からは有力選手8人に絞られた追走集団が迫るが、全力で逃げ続けるピノまでは届かない。これまでツール・ド・フランスなどのステージレースで結果を残してきたピノだが、ワンデーレースにおいては、3日前のミラノ~トリノ(UCIヨーロッパツアー1.HC)で初めて優勝を飾ったばかりだった。その“初優勝”から3日おいて、今度はワンデーレースの最高峰とされる「モニュメント」の大会を初めて制することになった。
 失速したニバリは追走集団にいったん吸収されたが、ゴール直前の小さな丘を越えてからの下りで再びアタック。集団を振り切って単独2位でゴールした。3位争いはトゥーンスがゴールスプリントを制した。







イル・ロンバルディア2018結果
1ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)5時間53分22秒
2ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)+32秒
3ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)+43秒
4リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
5ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
6ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
7ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
8ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)
9ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)+48秒
10ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ)+1分22秒

最終更新:10/14(日) 9:15
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