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<はやぶさ2>高度25mまで降下し確認 2回目リハに挑む

10/14(日) 8:00配信

毎日新聞

 高度50メートルよりもっと下へ--。探査機「はやぶさ2」が14日から、小惑星リュウグウへの着陸に向けた2回目のリハーサルに挑む。リュウグウ表面がデコボコだらけのため、慎重を期して最初の着陸を来年1月以降へ延期することになり、今回と今月下旬の2度のリハーサルで低高度における探査機のふるまいを詳細に確認する。津田雄一・プロジェクトマネジャーは11日の記者会見で、「チームとしては一度立ち止まり、リハーサルで課題をすべて確認したうえで長考する時間が必要だと考えた。リュウグウのデコボコに対処するため、考える時間を確保し、着実に進めたい」と話した。【永山悦子】

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 ◇デコボコに対処するため考える時間を確保

 リハーサルでは、はやぶさ2は14日深夜、高度20キロからリュウグウ表面へ降下を始め、15日午後10時半ごろに高度25メートルまで迫る計画。これまでで最も低く降下したのは、ドイツとフランスの着陸機「マスコット」を分離した高度51メートルだった。着陸に向けたリハーサルは、9月中旬に初めて実施したが、小惑星までの距離を測定する装置が予定通りに動かず、高度600メートルで降下を中止していた。

 これまでの観測から、小惑星全域にわたってどこもかしこもデコボコで、平らな場所は一つもないことが判明。さらに詳細に分析した結果、着陸の第1候補地点(100メートル四方)の中に、直径20メートルほどの比較的平らで着陸できそうな場所があることが分かったという。

 はやぶさ2がこれまで目指してきた運用の精度は、「100メートル四方の中心を狙って降りれば、少なくとも100メートル四方の内側には着陸できる」というレベル。しかし、それではリュウグウには歯が立たないことが明らかになり、リハーサルでは、さらに高い精度が求められる直径20メートルの中心を目指して降下する。高度30メートル以下で小惑星表面までの距離を計測する機器(レーザーレンジファインダー、LRF)の機能も確認する。これらの結果を踏まえ、10月24~25日に3回目のリハーサルを計画している。

 ◇着陸本番を延期した三つの課題

 着陸本番を延期した大きな理由は、これまで実施した約50メートルまでの降下では、(1)LRFで正しく距離を計測できるかどうかが不明、(2)デコボコの影響が大きくなり制御が難しい50メートル以下で、直径20メートルという狭い範囲に探査機を誘導できるか不明、(3)着陸直前に目印のために落とすターゲットマーカー(直径約10センチのボール状)を探査機が認識できるか不明--という課題が残っていたためだ。津田さんは「ロボットや着陸機の分離運用をやっても、まだ情報が足りなかった」という。

 リハーサルでこれらの課題を確認したうえで、さらに、「近くに降りたら意外にスベスベしたところがあるのではないかという期待がなくもなかったが、リュウグウは着陸するには意地悪きわまりないデコボコだった」(津田さん)ため、より近くから画像を撮影し、目標地点の分析に役立てたいという。

 津田さんは「高度50メートルまでは、狙った地点の10メートル以内に探査機を誘導できることは分かったが、それよりも低高度は地球との信号のやりとりでは対応が間に合わないから(往復約40分)、探査機は地球からの指示ではなく自律的に降下する。その場合、誘導の精度が落ちる可能性がある。やってみなければ分からないので、分からないところを全部つぶしてから、初めて地表にタッチしたいと考えた。50メートルより下に降りてみないことには先に進めないということになった」と説明した。

 リハーサルをしないまま着陸に挑んだ場合、リュウグウのデコボコを察知した探査機の安全装置が働き、機体の損傷を防ぐために降下を中止して上昇してしまう恐れが高く、表面物質の採取ができない恐れがあったという。

 今後、着陸に向けた運用方法を決め、実施の判断をするため、はやぶさ2自身のリハーサルの結果とともに、すでにリュウグウ表面に着陸しているマスコットと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって開発した小型探査ロボット「ミネルバ2」の2台のデータも総動員し、はやぶさ2探査にかかわる世界各国の約300人の科学者たちの意見も聞くという。

 これまで世界各国の探査によって明らかになっている小惑星は、リュウグウのようなデコボコの部分がある一方、比較的平らな部分も共存していた。先代の探査機「はやぶさ」が訪れた小惑星イトカワもそうだった。吉川真・はやぶさ2ミッションマネジャーは「大きなサイズの小惑星では、平らなところもあるのが一般的だったが、直径1キロ以下の小さな小惑星で詳細な観測ができているのは、イトカワとリュウグウだけ。リュウグウが特殊かどうかは分からない」と話した。

 ◇リュウグウは上級者コースしかないスキー場のよう

 プロジェクトチームによると、2019年末にリュウグウを出発するスケジュールは変更しないという。また、リュウグウ表面の温度が想定よりも低かったため、来年6月以降は表面の温度が上昇して着陸が難しいと考えられていたが、来年6月末までは着陸が可能であることも分かった。

 プロジェクトチームから「ファミリーゲレンデがなく上級者コースしかないスキー場のよう」と形容されたというリュウグウ。今後、困難な着陸運用が想定されるが、津田さんは「はやぶさ2にとって少なくとも試料を1回は採取するのが至上命令。手ぶらで帰るわけにはいかないと思っている」と話す。

 一方、これまでの運用はほぼ計画通りに進んでいる、つまり、「一か八かの状態でやるような窮地に追い込まれているわけではない。探査機の能力を一番生かせる運用を考えたい」(津田さん)としての延期の決定だった。

 津田さんは「全く新しい世界を探査するので、何もかもが計画通りにいくとは思っていなかった。いよいよリュウグウがきばをむいてきたな、と思っている。チーム全体の意気は上がっている」と話した。この難局に直面したプロジェクトチームが、「針の穴に糸を通すような」はやぶさ2の運用手法を編み出すことを期待したい。

最終更新:10/14(日) 8:00
毎日新聞

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