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<マネー>新商品続々「健康増進型保険」はおトクなのか

10/14(日) 9:30配信

毎日新聞

 生活習慣や健康状態が改善すると保険料が安くなる「健康増進型保険」が増えている。生保会社は、死亡・病気の「リスクに備える」保険本来の機能に加え、健康をキーワードに「リスクを減らす」面を打ち出す。利用者にとってのメリットを考える。【毎日新聞経済プレミア・渡辺精一】

 ◇2017年から新商品ラッシュ

 新規契約時に健康診断結果を提出すれば保険料が約1割引き、さらに健康状態が良好なら約2割まで安くなる--。第一生命保険は3月発売した主力保険「ジャスト」でこうした割引制を導入した。7月までの4カ月間で30万件を突破するなど販売は好調という。

 健康増進型は昨年から新商品ラッシュ。東京海上日動あんしん生命保険が昨年8月発売した医療保険「あるく保険」は腕時計型のウエアラブル端末などを使って日々の歩数を計測し、平均歩数が1日8000歩になると還付金を支給。損保ジャパン日本興亜ひまわり生命が4月発売した収入保障保険「リンククロス じぶんと家族のお守り」は契約後2~5年間に喫煙や健康状態などが所定基準を満たせば保険料が安くなり、契約日にさかのぼり差額分を返す。

 住友生命保険が7月発売した「バイタリティ」は死亡・医療保険の新規契約時に月利用料864円で付ける。健康診断結果だけでなく、ウエアラブル端末などで歩数や心拍数を測定するなど、健康増進の取り組みをポイントとしてためる。1年目の保険料は15%割引でスタートし、ポイントに応じ翌年の割引・割増率が決まる。割引率は上限30%、割増率は同10%になる。スポーツジムなど11社と提携しポイントに応じた特典もある。

 明治安田生命保険も来年4月に健康増進型の新商品の発売を予定している。

 ◇「加入の動機付けに」期待する生保

 生保各社が健康増進型に力を入れるのは「健康」が保険加入の動機付けになると期待するためだ。

 死亡・医療保障はいわば「健康な人ほど損をする」仕組みだ。第一生命が契約者1000万人超のデータを解析したところ、健康診断を受診している人はそうでない人に比べ死亡や3大疾病など保険金の支払いが少なかった。このため「健康意識の高い人に報いる」として保険料割引を導入したという。

 人口減少や少子化・晩婚化で、特に若い層では生命保険への加入が伸び悩む。特に大手生保は営業職員に販売を依存するが、死亡・病気など「万一のリスク」を強調する従来型のセールストークは効かなくなっている。「健康なら保険料が下がる」という提案のほうが効果的という期待がある。

 また、人生100年時代が意識されるなか、生活習慣病予防や定期健診受診を促すことで「健康寿命を延ばす」という社会的課題がある。健康増進型の「保険料割引」がどれだけのインセンティブ(誘因)になるかは不明でも、生保会社にとっては「社会的貢献を果たしている」とアピールしやすい。

 さらに、スマホの普及やウエアラブル端末の低価格化などで、個人情報を獲得しやすい環境が整った。それらを将来の商品やサービスの開発に結びつけられるという面もある。

 ◇「自分にとって必要な保障か」がすべて

 これを保険利用者としてはどう考えればいいか。健康意識が高く、保険加入を考えている人であれば、保険料が安くなる点には注目していいだろう。ただし、保険商品を選ぶ際は「自分にとって必要な保障かどうか」がすべてだ。保険料が安いか、特典があるかどうかばかりに目移りし、本来必要でない保険に入るのなら本末転倒だ。健康増進型は商品内容が複雑になりやすい点に注意したい。

 また、健康状態が悪くなった場合に保険料が高くなる商品であれば、リスクに備えるという面では不利になる。保険の仕組みから考えれば、健康な人の保険料を安くすれば、そうでない人の保険料を引き上げなければならない。生保業界には「公平性が保てなくなる可能性もある」と慎重姿勢をとる会社もある。

最終更新:10/14(日) 9:30
毎日新聞