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山覆う倒木、自然災害のリスクも 台風21号、山間部に爪痕

10/14(日) 13:32配信

京都新聞

 9月4日に関西を通過した台風21号で、京都市内の山間部では集落孤立やライフライン寸断が相次ぎ、平成最悪ともいえる甚大な被害を受けた。発災から1カ月が過ぎた北区の北山3学区(小野郷、雲ケ畑、中川)では、おびただしい数の倒木が今なお山を覆い尽くす。林業の衰退で山林管理が難しくなる中、北山杉の里ではいま、財産であるはずの木々による自然災害のリスクが深刻化している。
 「暴風の後、道路沿いの木が軒並み倒れて電柱を折った。停電し、携帯電話も不通になり、不安な毎日が続いた」。中川自治振興協議会の清水啓夫会長(70)は、今までに経験の無いほどだったという21号の被害をこう振り返る。
 山林に囲まれた北山3学区では暴風雨による倒木が各地で発生し、道路の寸断と停電を引き起こした。雲ケ畑では外部への通行路2線が両方ふさがれ、孤立状態に。5日には住民2人が体調不良で病院への搬送を要する事態となったため、住民が自前のチェーンソーと重機を駆使し、道を切り開いたという。
 停電は小野郷で最長10日間続くなど、3学区とも長期化。固定電話や、携帯電話の基地局が使えなくなるため、北区役所が各学区に設ける出張所のアナログ回線が、唯一の通信手段となった。
 また水道のくみ上げポンプの電源が途絶え、小野郷区などには給水車が出動する事態に。雲ケ畑では水道用の非常用発電機を搬入するため、倒木で車両の通行できない箇所は、住民が地面に丸太を敷いて1トン超の発電機を手押ししたという。
 3学区とも住民が連携し、台風の前に高齢者や病人を市街地に避難させておいたほか、自分たちの手で集落孤立を早期に解消させたこともあり、人的被害を避けることができた。だが停電の長期化や道路寸断を引き起こす倒木は、住民の手には負えないリスク要因であることが改めて浮き彫りとなった。
 北山杉の生産地である3学区では、木材価格の下落に伴い、搬出時期を過ぎた杉が山に放置されるケースが増加。山の手入れが行き届かないため、下草が生えずに土がむき出しの斜面も増え、土砂崩れのリスクが増大しているという。
 雲ケ畑自主防災会の岩井達男会長(66)は「自然を見直し、林業を循環させなければ解決しない問題。今後も台風のたびに恐怖にさらされるだろう」と指摘する。小野郷自治会の片山輝男会長(74)も「今は枝の手入れがされず、風で倒れる木が増えた。電気や水が寸断されたとき、高齢者をいかに守るかを考えなければ」と課題を話す。
 北区役所地域力推進室は「山間地の防災を考える上で、台風や大雪時の倒木は大きな課題。備蓄や福祉との連携など、ソフト面の対策も強化していきたい」としている。

最終更新:10/14(日) 13:32
京都新聞