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出廷21人、津波対策めぐり割れる証言=16日被告人質問・東電公判

10/14(日) 14:48配信

時事通信

 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長勝俣恒久被告(78)ら旧経営陣3人の公判は、東京地裁でこれまでに29回開かれ、東電社員や地震学者など計21人の証人尋問が行われた。

 津波対策をめぐり、意見が割れる専門家や後悔をにじます元社員。16日に始まる被告人質問を前に、主な証言を振り返った。

 津波対策を担った東電の「土木調査グループ」からは、社員ら3人が出廷。原子力安全委員会(当時)が2006年に原発の耐震設計審査指針を改訂した際、指針を満たすために必要な対策を検討したことを証言した。

 グループは政府機関の地震予測「長期評価」を基に、原発に到達する可能性がある津波高を試算。08年3月、「最大15.7メートル」との結果を得た。この経緯について、検察官役の指定弁護士側と弁護側に争いはない。問題は、試算結果が、対策が必要なレベルのものだったか否かだ。

 弁護側は試みの計算にとどまると主張するが、グループの1人は法廷で「早急な対応が必要と思った」と断言。試算結果を聞いた元副社長武藤栄被告(68)が「(さらに)研究を実施する」と指示したことを「対策保留」と受け止めていた。

 試算の前提となった長期評価の信用性については、出廷した専門家らの意見も割れた。地震学者の島崎邦彦氏は「地震や津波のトップの専門家が取りまとめた」と強調したが、原子力規制庁職員は「安全審査に用いるほど成熟した知見ではなかった」と、正反対の見解を示した。

 結果回避可能性の有無も、業務上過失致死傷罪が成立するか否かを分ける重要なポイントだ。津波工学の第一人者、首藤伸夫氏は「やりようで事故は防げた」と証言。土木調査グループ責任者だった元社員は「対策には時間がかかり、間に合わなかったと思う」としつつ、「何かできたんじゃないか。どこで間違えたのか、一生残る」と声を絞り出した。

 被告人質問は、原子力部門を統括していた武藤元副社長から行われる。 

最終更新:10/14(日) 14:53
時事通信

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