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波紋広がる就活ルールの廃止 通年採用 雇用形態見直しも

10/14(日) 7:15配信

産経新聞

 経団連が平成33(2021)年春入社の就職活動(就活)から、大手企業の採用面接などの解禁を定めた指針の廃止を決めたことで、波紋が広がっている。形骸化しているとされてきた就活ルールだが、いまなぜ廃止に踏み切ったのか。15日には、政府の主導で新たなルール作りを協議する初会合が開かれる。雇用形態の根本的な見直しに発展する可能性もあり、動向が注目される。

 就活に関するルールは昭和28年に産業界と大学、文部省(当時)の申し合わせで始まって以降、見直しが重ねられてきた。現行の指針では、会社説明会が3月1日、面接や採用試験が6月1日解禁となっている。

 しかし、経済のグローバル化とともに、国境を超えた人材の争奪戦が激化。国内でも、経団連の指針にしばられずに採用試験を早期に実施する外資系企業などに優秀な学生が流れる傾向があり、経団連内でも指針に対する不満がくすぶっていたという。

 指針に拘束力はなく、経団連内でもインターンシップやOB訪問といった「囲い込み」が指針の日程より前倒しで行われるなど、長年形骸化してきた。近畿大の中島敬方教授(雇用政策論)は「『指針を守るのはばかを見る』という風潮になっている」と指摘。経団連は実情に合わせて廃止に踏み切った形だが、ある専門家は「日程をどう定めても批判される損な役回りを、廃止することで避けたかったのが本音ではないか」と推測する。

 今後注視されるのが、平成33年以降の就活の日程の行方だ。政府は15日から関係省庁連絡会議で、経団連や大学側と日程についての協議を始めるが、「結局、経団連の指針を引き継ぐような形になるのでは」(中島教授)とする見方もある。

 一方、経団連の中西宏明会長は「新卒一括採用」の将来的な見直しについても意欲を表明。いつでも企業に応募できる「通年採用」や、職種ごとに一定の実務経験のある人材を雇用する「職種別採用」に切り替える可能性も出てきた。欧米では主流の採用方法で、世界的な人材争奪戦に対応する狙いだ。

 法政大の児美川孝一郎教授(教育学)は「平均的に能力が高い人材を一定数確保するには一括採用が便利だが、“少数精鋭”を採るなら通年採用が適している」とし、一括採用は減っていくとの見解を示す。

 ただ、採用方法のみを変えても雇用形態の見直しへの根本的な解決にはならないとする意見もある。雇用問題に詳しい日本総合研究所の山田久主席研究員は「大学教育も含めた一体的な改革が必要。学生に混乱を招かないよう数年単位で仕組みを徐々に変えていくべきではないか」と話している。

最終更新:10/14(日) 7:15
産経新聞

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