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「異文化共存、早過ぎた人」高橋教授講演 松浦武四郎生誕200年フォーラム

10/14(日) 11:00配信

伊勢新聞

 【松阪】松浦武四郎生誕200年記念事業実行委員会は13日、松阪市川井町のクラギ文化ホールで松浦武四郎フォーラム「武四郎の道は未来へとつづく」を開いた。武四郎に傾倒する作家の高橋源一郎明治学院大学教授や研究者の講演、討論会を繰り広げ、約1200人が参加した。

 武四郎は同市小野江町出身で、北海道の名付け親として知られる幕末の探検家。同フォーラムは記念事業のメインイベント。

 高橋氏は講演で、武四郎の生前は未公刊だった「近世蝦夷人物誌」を読んで「本当に驚いた。日本の中にある別の文化が描かれている。深い共感を持った」と武四郎との出会いを振り返った。同書はアイヌの指導者や庶民に焦点を当て、アイヌの風俗や価値観を紹介するとともに、松前藩の役人や商人がアイヌの尊厳を軽んじて虐待している実情を暴露したが、幕府箱館奉行が出版を許可しなかった。

 その上で、高橋氏は「武四郎はアイヌの方がモラルが真っ当じゃないかと気付いた時、だんだん日本中心主義の世界観が変わってくる」「アイヌが残酷な扱いを受け、解決できない矛盾を感じたと思う。明治政府の役人になったが、同化政策に手を染めざるを得ない。だから辞めたんだと思う」と指摘した。

 武四郎を「早過ぎた人」と特徴づけながら、「今は他者に非寛容な時代。異文化を包摂できず排除しようとする動きは世界中で起こっている。武四郎の意義はとても大きい」と語った。

 市立鵲小学校(同市笠松町)の児童10人は、武四郎の人柄の特長で「たくましい」「誰とでも仲よしになれる」「好奇心旺盛」のそれぞれについて掘り下げた学習成果を発表した。

 ロビーでは武四郎が肖像写真で首に掛けている自作の大首飾りの複製をお披露目。武四郎にちなんだ物産品を販売してにぎわった。

伊勢新聞

最終更新:10/14(日) 11:00
伊勢新聞