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米連邦最高裁判所を永遠に変えたカバノー氏承認問題、その舞台裏

10/14(日) 11:07配信

The Telegraph

【記者:Ben Riley-Smith】
 9月27日昼の時点で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領から連邦最高裁判所判事に指名されたブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)氏(53)は、窮地に追い込まれていた。

 昼前の米上院司法委員会(Senate Judiciary Committee)公聴会で、米カリフォルニア州の大学教授クリスティン・ブレイジー・フォード(Christine Blasey Ford)氏(51)が、36年前高校時代に参加したホームパーティーで、カバノー氏から性的暴行を受けたと訴え、その詳細を4時間にわたって証言したのだ。

 フォード氏は、上院議員らの前で話をするのは「怖くてたまらない」が、これが「市民としての義務だ」と信じていると震える声で告げ、話し始めた。

 1982年、仲間の一人が眺める中、酒に酔ったカバノー氏にベッドに押し倒されて、体をまさぐられ、服を脱がされそうになったという。レイプされると思い助けを求めて叫ぶと、カバノー氏に口をふさがれ、「誤って殺されかねない」と思ったと、フォード氏は当時の恐怖を思い出しながら語った。

 フォード氏の証言は明確で、衝撃的だった。共和、民主両党のいずれの上院議員も、そしてトランプ氏すらも後に、フォード氏の話は「信頼できる」と述べたほどだった。

 フォード氏が退席し、昼休みにカバノー氏が自身の証言の準備をしている時、トランプ氏はちゅうちょし始めたと報じられている。カバノー氏の指名が承認される可能性は、極めて低くなったように思われた。

 トランプ氏が初めて任命した最高裁判事は、ニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)氏だった。超保守派のアントニン・スカリア(Antonin Scalia)判事の後任に、同じように超保守派のゴーサッチ氏を選んだため、9人いる最高裁判事の力学は変わらなかった。

 だが、トランプ氏にとって2人目となる今回の指名は、前回とは異なっていた。退任したアンソニー・ケネディ(Anthony Kennedy)判事は、最高裁の判断の行方を握る存在だった。最高裁判事のうち、共和党指名の判事が4人、民主党指名の判事が4人で、判事の見解が党派色で分かれた場合、ケネディ氏が結果を左右することが多かった。ケネディ氏の後任を保守色の強い人物が務めることになれば、5対4で常に保守派が多数となる。このため、9人目の判事の席はトランプ大統領にとって、重要な意味を持っていた。

 しかも、共和党はすでにホワイトハウス(White House)、上院、下院という大事なところを抑えている。これに加え、11月の中間選挙までにカバノー氏の人事案が承認されれば、安泰だ。

 最初は何もかも順調に進んでいた。

 ところが、フォード氏がカバノー氏から性的暴行を受けたと主張すると、すぐさまニュースで大々的に取り上げられた。民主党は、カバノー氏の最高裁判事就任を承認する投票を延期するよう要請。メディアのコメンテーターらも、フォード氏に証言する機会を認めるべきだと主張した。

 トランプ氏は、フォード氏を直接非難しないようにとの側近のアドバイスに従い、沈黙を守った。トランプ氏とホワイトハウスの側近が言うように、フォード氏の話を聞くことが重要だったからだ。

 だが、フォード氏とカバノー氏が証言する公聴会が近付くと、カバノー氏から性的被害を受けたと主張する女性がさらに数人名乗り出た。

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最終更新:10/14(日) 11:07
The Telegraph

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