ここから本文です

鮮やかに自分らしく…樹木希林の女優人生

10/14(日) 7:01配信

ニッポン放送

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
9月15日、国民的女優の樹木希林が75歳で死去しました。全身をがんに侵されながらも生涯現役を貫く姿は、気高く美しく、多くの人を魅了しました。そこで今回は、不世出の大女優・樹木希林を特集します。

希林さん、多くの感動をありがとう!

『わが母の記』は、昭和の文豪・井上靖の自伝的小説を豪華キャストで描いた親子の絆の物語。幼少期に離れて暮らしていたため母とは距離を置いていた主人公が、自身の幼い頃の記憶と母への思いに向き合いながら、母を理解し、次第に受け入れていく様子を情感たっぷりに紡いだ感動作です。
樹木希林が演じたのは、役所広司扮する小説家・伊上洪作の母、八重。痴呆によって薄れゆく記憶の中で、それでも変わらぬ息子への愛情を持ち続ける姿に、自分の母親と重ね合わせて観る人も多いのではないでしょうか。“日本の母”を数多く演じてきた樹木希林ですが、そのなかでも彼女の名演技が光る1作です。

吉田修一によるベストセラー小説を映画化した犯罪ドラマ『悪人』。九州のとある峠で起きた殺人事件をきっかけに、偶然出会った男女が繰り広げる逃避行と愛の行方を息苦しくなるほどのリアリティで描くと同時に、地方都市の閉塞感や人間関係が希薄になった現代社会を鋭く反映した秀作です。
そんな本作で、容疑者の祖母という難役を演じきった樹木希林。突然のマスコミ攻撃に戸惑いながらも、それでも孫を信じたいという葛藤に揺れ動く祖母の演技が切なく、作品にさらなる深みを与えています。

数々の作品において、その確かな存在感で魅了してきた樹木希林の最新作となるのが『日日是好日』。森下典子による人気エッセイ「日日是好日-『お茶』が教えてくれた15のしあわせ-」を映画化した本作で樹木希林が演じたのは、“タダモノじゃない”と巷で評判の茶道の師匠、武田先生。
茶道を人生になぞらえて語る武田先生の言葉は、女優・樹木希林の生き様と重なる部分が多く、思わずグッとくることも度々。雨の日は雨の音を聴き、雪の日は雪を見て、その季節を生きる。樹木希林という女性は、自分らしく鮮やかに「日日是好日」な人生を全うした人物なのかもしれません。

1/2ページ

最終更新:10/14(日) 7:01
ニッポン放送