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上原エールに応えた巨人菅野のノーノーは打倒広島の“下克上”につながるか

2018/10/15(月) 6:00配信

THE PAGE

 菅野は表情を変えることなく9回のマウンドへ向かう。ポン、ポンと2つのアウトをとって、28人目の打者はトップの坂口。初球は外のストレート。そして2球目もストレート。113球目のそれは少し甘く浮いた。坂口の当たりは悪くなかった。ヒヤッとした顔で菅野は振り返ったが、打球は陽の正面だった。

 自身プロ6年目にして初のノーヒットノーラン。しかも、ポストシーズン初となる記録である。2007年の中日vs日ハムの日本シリーズ第5戦で、8回まで山井が完全試合をしていながら最終回に岩瀬にスイッチした落合采配に賛否があった「山井―岩瀬」の完全試合リレーはあったが、菅野は、正真正銘の大記録。
「最高の気分。何と表現していいかわからないが、達成感はすごくある」

 神宮の三塁側ベンチ前で行われたインタビューで菅野の表情が和らいだ。

 序盤、中盤、終盤で配球を変え、内外にボールをうまく散らしてヤクルト打線のバットの芯を外していった小林のリードも見事だった。
「小林は今シーズン2回目のノーヒットノーラン。意識してくれたんだと思う」

 小林は、7月27日の中日戦でも山口俊をリードしてノーヒットノーランを援護している。特別緊張することもなく、何度か巡ってくる山場を乗り越えていくコツを知っていたのかもしれない。

 元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏も、「いいものを見せてもらいました。菅野のコントロール、変化球のキレ、球威、そして小林のリード。すべてが完璧でした」と絶賛。
「僕は、今年のヤクルトを2位に押し上げた打線のキーマンはメジャーから帰ってきた青木だと考えていました。その青木を怪我で欠くことになったヤクルト打線は、2試合を通じて淡白になっていました」と解説した。打率.327の青木が打線から抜けていたことも菅野のノーノーを助けたのかもしれない。

 巨人は17日からマツダスタジアムでのファイナルステージに挑む。菅野の先発は、1試合だけしか無理だが、その後は、シーズンの最終戦同様、ブルペンで待機する覚悟がある。
「僕たちは挑戦者。最後までフル回転で頑張りたい」。
 そう言い切った。
 前出の里崎氏は、「こういう勝ち方をするとチームに勢いが出る。2010年のロッテが下克上で日本一になったときに状況が似ている」と、菅野のノーノーがチームにもたらした効果を評価した。

 だが「広島有利な状況に変わりがない」とも言う。
「1位のチームが有利です。しかも、今シーズン、巨人は広島に対しての対戦成績で大きく負け越していて、さらにマツダスタジアムでのデータが良くない。短期決戦にシーズン中のデータが、そのままあてはまるわけではないが、下克上の確率は?と予想するなら、高い確率を出す根拠は出てきません」
 今季も対広島には7勝17敗と負け越した。しかも、マツダスタジアムでの戦績となると2勝9敗と悪くなり、そこでのチーム防御率は6.25。つまりマツダでは、滅多打ちにあっているのだ。強力な広島打線を巨人の投手陣がいかに封じ込めるかが“下克上”のカギ。ノーノー菅野のフル回転がポイントになるのかもしれない。

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最終更新:2018/10/15(月) 14:11
THE PAGE

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