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MotoGPコラム:タイGPで2年ぶりの勝利に近づいたヤマハ。日本GPから再び復活なるか【前編】

10/15(月) 20:57配信

オートスポーツweb

 イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーのMotoGPコラムをお届け。第15戦タイGP決勝のファイナルラップまで優勝争いを繰り広げたモビスター・ヤマハ。第16戦日本GPでもヤマハは優勝争いを展開するのだろか。オクスリーが分析する。

【画像】タイGPでの速さはタイヤのおかげと語るバレンティーノ・ロッシ

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 ロッシとビニャーレスはタイGPで2018年シーズンのベストリザルトを獲得した。この勢いを今週末の10月19日から開幕する日本GPまで保てるか?

 かつては優勝して当然だったファクトリーチームが、3位や4位でフィニッシュして“調子を取り戻した”と喜んでいるのは良い状況ではない。モビスター・ヤマハが優勝には近づいたものの、手が届かなかったブリーラム(タイGP)での結果に対して見せた反応は、まさにそうだった。

 マーベリック・ビニャーレスは勝者マルク・マルケスからコンマ3秒未満の差でフィニッシュし、最終コーナーでチームメイトのビニャーレスと衝突寸前の激しい戦い見せたロッシは、1.2秒という大差をつけられた。

 驚くことに、優勝争いにヤマハのファクトリーチームのふたりがこれほど近いところまでいったのは、2017年のフィリップアイランド(オーストラリアGP)以来のことだ。

 ブリーラムでの結果は偶然のものだったのか、それとも今週末のもてぎで各ファクトリーチームのボスたちが睨みをきかせるなか、ヤマハは引き続き調子を取り戻すことができるのだろうか?

 ロッシはブリーラムでその質問に答えようとしたが、ロッシの予測は前向きなものとはほど遠かった。

「他のコースでも強さを出せるよう心から願っているが、残念ながら僕たちがここで速かったのは、タイヤとコースのおかげだ」とロッシは語った。

「僕たちが本当に速くなっているのか、それともコースのせいだったのか、これからもてぎで試すことになるだろう」

 ロッシは政治家のような最善の回答をしたようだ。ロッシはすでに質問に対する答えを知っているが、賢明にも彼自身で答えを言うことはなかった。いつの日か、ロッシはイタリアの優れた大統領になるかもしれない。

 しかし、ヤマハは長いこと低調だったのに、なぜブリーラムではあれほど強かったのだろうか。

 もちろん、すべてはタイヤにある。ブリーラムでのプレシーズンテスト後、ミシュランはコースレイアウトと熱帯の気温に耐えうる特別なリヤのスリックタイヤを製作した。そのタイヤはより硬く、耐熱性のあるカーカス(ケーシング)を備えていた。これがヤマハの驚くべき速さの秘密だった。

 ミシュランタイヤは、2009年から2015年にMotoGPで使用されたブリヂストンタイヤとは正反対だ。ブリヂストンはフロントのスリックタイヤの方が優れているのに対し、ミシュランはリヤタイヤの方が優れているのだ。したがってリヤタイヤのスペック変更はヤマハ勢にとって大きな効果があった。ビニャーレスとロッシだけでなく、ヨハン・ザルコとハフィス・シャーリンの両名もこの数カ月で最高のレースをしたのだ。

「バイクのバランスに少々の変更を加えたが、リヤタイヤがコーナリングにおいて大きな助けになったのは確かだ」とビニャーレスは語った。

「とても奇妙だ。なぜならアラゴンで僕はバイクを傾けられなかったが、今週末僕たちが一番速かったのは、コーナリングスピードがすべてのセクター2と3だった。バイクは正常なヤマハのバイクのように走れていた」

 結果として硬いリヤのカーカスのおかげで、ヤマハ勢はより高いエッジグリップとドライブグリップを得ることができ、徐々にではあるが、スロットルとともにコーナーを通過でき、ほとんどホイールスピンを起こすこともなかった。

 MotoGPを密接に追いかけている人にとっては、このことは驚きであるかもしれない。2016年は、ミシュランが公式タイヤサプライヤーになった最初のシーズンだった。アルゼンチンGPのフリー走行でスコット・レディングがタイヤをパンクさせたことを受けてミシュランがより硬い構造にタイヤを切り替えるまでは、ホルヘ・ロレンソは絶好調だった。

「最初のミシュランタイヤでは、僕はとても速かった。プレシーズンテストでは他のレーサーよりも1秒速かったんだ」とロレンソは振り返った。

「でもミシュランがタイヤをより硬くしたら、僕は遅くなってしまった」

 しかしビニャーレスとロッシはハードなリヤタイヤのおかげで、ブリーラムでは先頭集団で走れていた。このことは理解しがたくないだろうか? 実はそうでもない。

 ヤマハは、速度を出すために高いエッジグリップを必要とする、コーナリングスピードのバイクだ。したがって、最適な接地面を生み出すために、完全に傾いた時のカーカスの適正な柔軟性が必要だ。だからリヤタイヤが柔らかすぎたり、硬すぎたりということは十分あり得るのだ。

【後編へ続く】

[オートスポーツweb ]

最終更新:10/17(水) 15:46
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