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迫るイドリブでの戦闘、兵力低下に悩むシリア政権軍 新兵確保に奔走

10/17(水) 10:00配信

The Guardian

【記者:Bethan McKernan】
 7年におよぶ内戦の末、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領はシリア全土での勝利を手中に収めた──ただ一つの県を除いて。アサド政権を支援するロシアとイランは、内戦の最終段階に至って身を引いた。後には、単独で戦いを遂行するには疲弊し過ぎた政権軍が残された。

 アサド政権は、反体制派の最後の拠点イドリブ(Idlib)県への総攻撃を回避したのは、市民の死を避けるための一時的な措置だと説明している。だが、ロシアの空撃と、イラン系民兵の地上からの支援なしに大規模な戦闘を戦うことは、これまでになく疲弊し、士気が下がっている政権軍にとっては、命取りになりかねない。ロシアもイランも、イドリブでの戦闘に協力するのは気が進まないように見えた。

 兵士の死、脱走、徴兵逃れが大きな痛手となった。これまで数々の停戦合意を破ってきた政権軍だが、今回は少なくとも消耗しきった軍が力を取り戻すまで、停戦を続ける必要があるようにみえる。

 政権軍は新兵の確保に必死だ。政府は今年の夏、イドリブでの戦闘を前に、学生に告知なしに大学の試験規則を変更した。男子学生を軍にかき集めるためだ。

 首都ダマスカスのある女子学生は、今年の夏は同じ学年の学生300人のうち70%が試験に合格しなかったと語った。軍に入るのを遅らせるために、わざと落第した学生が多いという。だが、これまであった再試験のための兵役免除期間が突然廃止され、男子学生たちは徴兵される恐れがあると言う。

 エリーさん(23)は先月、大学2年生の試験に落ち、徴兵の知らせが来たため、ダマスカスを離れ、国境を越え、レバノンの首都ベイルートに向かった。8000ドル(約90万円)を払えば兵役を免除されるが、ほとんどのシリア人と同様、エリーさんの家族にはそのような金額を工面する余裕はなかった。

「ここでの生活はそれほど簡単ではない。だが、血と殺りくにまみれ、自分の人生を何年も無駄にするよりはましだ」とエリーさんは語る。「いとこは5年間軍にいるが、終わりは見えてこない。3回重傷を負い、友人50人以上を失った。自分にはいとこのような状況は耐えられない。だから、シリアには戻れない」

 大学生をかき集めても、寄せ集めの軍が、イランとロシアの助けなしに、イドリブを素早く奪還できる可能性はほとんどない。

 元学生や元反体制派のメンバーが集まった軍の実力は未知で、ベテランの兵士たちは疲弊している。中には内戦が始まった2011年に徴兵され、休むことなく戦い続けている兵士もいる。

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最終更新:10/17(水) 10:00
The Guardian

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