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これだから、白鵬は相撲界を意のままに動かす

10/20(土) 7:41配信

ITmedia ビジネスオンライン

 まだまだ天下が続くことになる。東京都内の病院で右膝の骨片を摘出する内視鏡手術を受け、無事に終了した大相撲の横綱・白鵬のことだ。

日本相撲協会関係者は渋い表情を浮かべながら……

 秋巡業中に右ひざの痛みを訴えて離脱。内視鏡手術はメスを入れずにクリーニングするだけで、大きな手術ではないため、早ければ10月下旬には稽古を再開できる見通しとなっている。ただ、それでも九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)の出場予定についてはまだ微妙な状況だ。

 しかしながら出場しようがしまいが、白鵬にとっては痛くもかゆくもない展開となるのは間違いない。すべては自分の描いた思い通りに事が運んでいるからである。

 秋場所では横綱として800勝、幕内1000勝に到達し、最多記録を独走する41度目の優勝を達成。今季初Vを全勝で決めた。これで2006年から13年連続の優勝となり、大鵬の12年連続を抜いて単独1位に躍り出た。

 記録を次々と塗り替えるので、もう手にする栄光すら見当たらないのではないかとも思える。現在33歳8カ月。自身は20年の東京五輪を横綱として迎えることを次の目標に掲げているが、2年後どころかその先も突っ走りそうな気配である。

 ちなみに昭和以降で全勝優勝の最高齢記録は年3場所だった1952年春場所で全勝した横綱・羽黒山の37歳2カ月。年6場所制となった58年以降では59年の名古屋場所を全勝で制覇した横綱・栃錦の34歳5カ月が最高齢だが、これら2つの記録も今の白鵬ならばクリアできそうな気がしてならない。

白鵬の“百戦錬磨の術”

 白鵬は一昨年の秋場所以降、休場が6場所もあり、特に7月の名古屋場所ではくだんの右ひざ痛を発症して初日から3連勝で迎えた4日目から休場した。複数の箇所に古傷も抱えており、体は明らかに満身創痍(そうい)だ。それでも相撲界では、たとえ手負いとなってもキッチリと勝つ白鵬の“百戦錬磨の術”に舌を巻く関係者が多い。

 「うまいタイミングで休場したり、体がパンクしそうになったら力をセーブしたりしながら相撲をとり続けている。頃合いがいい時に優勝を狙ってやってのけてしまうのだからスゴいと言わざるを得ない」

 どんなに記録を重ねようが、ケガを乗り越えて土俵に上がり続けようが関係ない。とにかく白鵬がムカついてしょうがないんだ。きっと、そう思う人は世に少なくないだろう。昨年11月には元横綱・日馬富士による貴ノ岩への暴行事件が発生した現場に同席していたことが発覚。この問題を告発した元貴乃花親方とは冷戦状態となり、イメージが大きく低下したのは今さら振り返るまでもない。ここ最近は鼻につくような言動や態度の悪さなどがネット上を中心にたびたび指摘され、バッシングを浴びせられ続けていたことも背景としてあった。

 肘うちのようなかち上げ、そして張り手を多用する取り口も批判の対象となっている。前回優勝した昨年の九州場所後には横綱審議委員会から、その品位にかける取り口として名指しで糾弾された。だが、全勝優勝を飾った秋場所ではこうしたかち上げや張り手はほぼ見られず、全盛期をほうふつさせる盤石の相撲が多かったのも事実だ。これには何かと「ヒール横綱」を叩きたくて仕方がない反白鵬派の人たちもあらを探すのが難しく、黙り込むしかなかったようである。

 そう、白鵬はやればできるのだ。かばった言い方をすれば、プロレス技の「エルボー」まがいのかち上げや張り手の多用は、加齢による衰えと満身創痍の体にうまく付き合いながら厳しい相撲界で結果を残すために選んだ死に物狂いの策だったと考えられる。

 「横綱らしくない」と四の五の言う人は多いが、いくらイチャモンを付けられてもかち上げや張り手で反則負けになったケースは一度もない。現に秋場所は“クリーン”に全勝優勝を果たし、まだ横綱相撲ができることを証明してもいる。

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