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日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか(4)U-NEXT

10/24(水) 17:55配信

THE PAGE

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 2007年から動画配信サービスを提供しているU-NEXT(東京都品川区)では、洋画や国内ドラマなど13万本以上の動画コンテンツが視聴可能となっている。社長の堤天心(つつみてんしん)氏(41)は、「ニッチなコンテンツも幅広く取り揃えて、コアな層のファンをひきつけたい」と品揃えの充実に活路を見出したい考えだ。

有料の動画配信サービスが当たり前の存在に

── 日本市場の現状をどう見ていますか。
 
堤 視聴者にとって、(無料で動画コンテンツが視聴できる)地上波テレビの存在が大きいのですが、お金を払ってビデオをレンタルする、というライフスタイルも浸透しています。衛星放送やケーブルテレビ、劇場映画の市場も含めると、有料の動画コンテンツ市場自体は決して小さいとは感じていません。

── 会員数はいかがでしょうか。

堤 当社の会員数は非公開なので実数は言えませんが、年々確実に伸びています。インターネットを通じて有料で動画コンテンツを視聴するというサービスが、若い層を中心に当たり前の存在になってきていると感じます。

── 他の動画配信サービスに比べて、月額1990円の会費は高いように感じます。

堤 1990円という金額が高い、と言われる方もおられますが、この1990円という料金設定にはこだわりがあります。この料金には、ビデオ見放題サービスだけではなく、雑誌の読み放題サービス、それに劇場映画が割引になるチケットとの交換や、新作動画コンテンツの利用に使えるポイントも含まれています。これらが1990円で楽しめる、という当社サービスの価値を今後も訴えていきたい。

品揃えとオリジナル動画で勝負

── 今後、競合の動画配信サービスとどのように戦っていきますか。

堤 動画コンテンツは、幅広いジャンルの作品を取り揃える方針です。他社の場合、メジャーなヒット作を中心に取り扱って、ニッチな人気の映像作品の品揃えは手薄になっているケースがあります。当社は、レンタルビデオ店のように、メジャーな作品だけではなく、アート系の作品などニッチなジャンルの動画コンテンツも幅広く取り揃えて、コアな層のファンを確実にひきつけたいと考えています。また、動画コンテンツは、その作品だけではなく、原作となった書籍や関連イベント、グッズ販売など、複合的なエンターテインメントビジネスも展開可能です。これからは、動画配信サービスとともに、それらのビジネスにも手を広げていきたいと考えています。今、来年に向けて具体的な施策を検討しているところです。

── テレビ局は競合ですか。

堤 われわれとしては、テレビ局は「競合」というよりも「パートナー」としてとらえています。

── オリジナルの動画コンテンツに力を入れる競合もありますね。

堤 当社としても、今後はオリジナルの動画コンテンツにもチャレンジします。たとえば現在、ドラマの原作者に対して、「自分の作品が動画配信サービス会社でドラマ化される場合と、テレビ局でドラマ化される場合を比べて、どちらがより広く世間に知れ渡ると思うか」と問えば、当然「テレビ局だ」と答える人の方が多いでしょう。しかし、これから動画配信サービス会社のオリジナルドラマでもヒット作が出て、世の中での認知度が高まるようなサイクルが出来上がれば、こうした状況は変わってくると思います。ドラマの原作者のようなクリエイターにとって、当社の動画配信サービスが魅力的なプラットフォームとなり、優良な動画コンテンツを配信しつづけることが、最終的に市場で生き残るための条件の1つだと認識しています。

── 5年先、10年先の日本のコンテンツ市場はどうなっていると予測しますか。

堤 テレビ局は確実に生き残っています。動画配信サービス業者間では競争が激化しているでしょう。そのなかで、当社は、幅広いニーズに応えられる品揃えと、オリジナルの動画コンテンツで勝負します。どちらが欠けてもダメです。

(取材・文:具志堅浩二)

プロフィール
堤天心(つつみ・てんしん)1977年生まれ。株式会社リクルートを経て、2006年7月株式会社USEN入社。U-NEXT事業部長、株式会社U-NEXT(2010年12月に株式会社USENから分離独立)取締役などを歴任。2017年12月に株式会社USEN-NEXT HOLDINGS(同月に株式会社USENと株式会社U-NEXTが経営統合)取締役と、同社から動画配信サービス事業を承継した株式会社U-NEXTの社長に就任。

最終更新:10/25(木) 14:27
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