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緊急避妊薬(アフターピル)市販薬化の是非 日本での薬剤師の立ち位置は?

2018/10/31(水) 11:08配信

BuzzFeed Japan

薬剤師の意見はどうか

市販薬化の見送りに対し、多くの薬剤師は反発しました。専門メディアやSNS、ブログには「薬剤師の職責・能力の否定であり容認できない」といった意見が多数見られます。

皆さんもご存じのように、日本は薬剤師の存在意義を重視しない国です。

日本は先進国の中で「医薬分業(病院と薬局とを分離し独立性を担保する)」が徹底されない唯一の国であり、市販薬の99%以上は薬剤師の関与を必要とせずに販売されています。

こうした日本の医療文化を支えてきたロジックは、

「医療用医薬品は医師が安全を担保しており、薬剤師の存在は必須ではない」

「市販薬は病院を受診せずに買えるのだから安全であり、情報は説明書で十分」

といったものです。

この理解には多くの薬剤師が呆れ、批判していますが、厚労省での議論の前提として、また「有識者」と呼ばれる人たちの理解、世間の常識としても広く共有されています。日本薬剤師会も現状に強く抗議することはないようです。

こういった状況から、多くの薬剤師は「存在意義を認められ、役割を果たす」ことを強く望んでいます。もし「緊急避妊薬を販売するためには、10時間のweb講座の受講が必要」との決定があれば多くの薬剤師が受講するでしょう。

会議で指摘された「薬剤師の能力不足・教育」は問題にはならないと思われます。

医師の権威・パターナリズムへの反発と市販薬化

緊急避妊薬を市販薬化する目的として、「医師の権威・パターナリズムからの解放」といった面もあるかもしれません。

緊急避妊薬の市販薬化を求める声の中には、「医師から心ないことを言われた」「説教をされる」とする意見が少なくありません。

確かに、医師の言葉づかいや態度は様々です。コミュニケーション技術を改善すべきとの意見もありますが、解決しづらい問題でもあります。人格やキャラクターは様々であり、伝えたいメッセージも持っています。

性に関する話題はデリケートで、コミュニケーションに伴う抵抗感は生じやすいものです。購入者(患者)が医師に権威やパターナリズムを感じ、権利が尊重されていない、失礼だと考えた際、それに反論することは多くの人にとって簡単ではないかもしれません。

しかし、パターナリズムを嫌う一方で、(未成年者や学生、若年者ばかりでなく)皆が医師とのコミュニケーションや摩擦を避けてしまえば、それに代わる新たな関係性を模索することも叶わず、産婦人科を受診しづらい文化も変わりようがありません。

コミュニケーションは面倒ですが、望ましい医療あるいは医師は、ネットやメディアの中に存在するのではありません。生活圏の中で関係性を構築し、皆で文化を醸成する手間を避けて通ることはできません。

パターナリズムからの解放は重要な課題です。ただそれは、余計なコミュニケーションや摩擦なしに緊急避妊薬を入手することで実現するものではなく、市場が解決してくれる問題ではないと私は思います。

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最終更新:2018/10/31(水) 11:08
BuzzFeed Japan

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