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JAL副操縦士、英国で拘束 乗務前アルコール検査で基準大幅超過

11/1(木) 21:23配信

Aviation Wire

 日本航空(JAL/JL、9201)は11月1日、英国で乗務前の男性副操縦士(42)が現地警察に身柄を拘束されたと発表した。飲酒による英国法違反で、乗務前に社内で行われたアルコールの呼気検査では検出されなかったが、航空機へ送迎するバスの運転手がアルコール臭を感じ、警察がアルコールの血中濃度を調べたところ、英国の法令に定められた規定値の9.5倍となるアルコールが検出された。

◆規定値を大幅オーバー

 副操縦士が乗務予定だったのは、ロンドンを現地時間10月28日午後7時(日本時間29日午前4時)発の羽田行きJL44便(ボーイング777-300ER型機、登録番号JA733J)。乗客250人と乗員15人(パイロット2人、客室乗務員13人)を乗せた同便は1時間9分遅れの午後8時9分に出発し、羽田には1時間1分遅れの29日午後4時56分に到着した。

 JALによると、副操縦士は2000年12月入社で、乗務歴は15年1カ月。これまでの呼気検査や身体検査で、アルコールに関する問題は指摘されていなかったという。

 今回の羽田-ロンドン線の乗務では、羽田を26日に出発したロンドン行きJL43便に乗務し、現地時間26日にロンドンへ到着。ヒースロー国際空港近くのホテルに泊まった。副操縦士による会社への説明では、現地時間27日午後6時ごろから、出発時刻20時間前にあたる28日午前0時(編集部注:28日午前2時に冬時間へ移行)までに、赤ワインとロゼを1本ずつ計2本、ビール小瓶(330ml)を3本と缶ビール(440ml)を2本を、ホテルのバーや自室で飲んだという。

 乗務予定だった28日は、一緒に乗務する機長2人とともに午後5時ごろオフィスへ出社。アルコール感知器を使い、3人で相互確認する呼気検査では、副操縦士からアルコール反応は検出されなかった。2人の機長やオフィス内の社員への聞き取り調査でも、副操縦士に変わった様子や言動は見られなかったという。

 ところが、パイロットを航空機へ送迎するバスの運転手が副操縦士からアルコール臭を感じたため、運転手は空港の保安担当者に連絡。その後の警察による呼気検査では、英国の規定値0.09mg/lに対し、約10倍の0.93mg/lと、規定を大きく超えるアルコール量が検出された疑いがあるため、警察に身柄を拘束された。

 副操縦士は拘束が一度解かれたが、さらに警察が実施したアルコールの血中濃度検査では、規定値の200mg/lの9.5倍にあたる1890mg/lが検出され、現地時間31日午後8時(日本時間1日午前5時)に再び拘束された。

 副操縦士が使った感知器について、正常に作動するかをJALで調べたところ、異常はなかったという。副操縦士は、拘束が一時解かれた際に行われた社内調査で、呼気検査が適切だったかを問われると、「大変申し訳ないことをした」と応じたが、再勾留直前だったこともあり、十分な聞き取りができていない状況だという。

 日本の航空法にはパイロットの飲酒量に関する規定はなく、副操縦士が違反したとされているのは英国の法令「Railways and Transport Safety Act 2003」で定められた基準と、JALが社内で定めた運航規定になる。

◆新型感知器の導入前倒し

 JALの安全統括管理者で、運航本部長を務めるパイロット出身の進俊則専務は、「大変深刻な法令違反が発覚した。深くお詫びし、再発防止に努める」と謝罪した。

 また、副操縦士が乗務できなくなったことで、本来はパイロット3人が乗務するJL44便は、機長2人で操縦することになった。JALの運航規定では、オフィスへ出社して乗務終了までが15時間以内であれば、パイロット2人で乗務可能であることから、28日出発のJL44便を運航したという。

 進専務は「休憩時間が短くなるので、規定に則っていたから問題ないとは言い切れない」と述べ、3人編成で乗務する便で欠員が生じた際の対応について、再考する考えを示した。

 JALでは2016年6月に、石川県金沢市内で男性副操縦士(当時42)が酒に酔い、機長や駆けつけた警察官に暴行し、公務執行妨害の疑いで逮捕されている(翌月釈放)。これを受け、2017年8月から検出アルコール量を数値で示す新型検知器の導入を始め、羽田や成田など国内空港に80台を配備した。

 従来の感知器は、検出したアルコール量が乗務に問題ない値であれば青いランプが点灯する方式だったが、新型は数値を表わすだけではなくオンライン化されており、データをオフィス内のシステムに残せるようになっているという。また、新型では所定のやり方で息を吹き込まないと作動しないという。

 一方、海外空港へは新型感知器は未配備で、2019年3月までに導入予定だった。進専務は、「海外もオンライン化しようとこだわりすぎ、時間がかかってしまったことが組織としての反省点だ。本人の責もあるが組織としての問題もあり、本人だけの責ではない」と謝罪。副操縦士の拘束を受け、海外空港用に新型40台を月内に配備する。当面はオンライン化を後回しにし、感知器単体で運用するという。

 また、新型感知器を配備するまでの間、国内線・国際線とも乗務開始24時間前以降の飲酒と、滞在地での飲酒を禁止。乗務前のアルコール検査ではパイロット以外の写真も交えて相互確認を実施する。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:11/2(金) 10:44
Aviation Wire

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