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社会的養護の未来像提言へ 全養協が自ら変革する姿勢強調

11/1(木) 10:00配信

福祉新聞

 第72回全国児童養護施設長研究協議会が10月17日から3日間、北海道内で開かれ、600人以上が参加した。大会で主催者の桑原教修・全国児童養護施設協議会長は、全養協として将来の施設の姿を示す提言づくりに着手したいと発表。施設に対する「逆風」が吹く中、このままでは施設が自然淘汰されるとの危機感もあらわにし、自ら変革する姿勢を強調した。

 児童養護施設をめぐっては、厚生労働省の検討会が昨年、10年以内に学童期以降の里親委託率を50%以上にすることなどを盛り込んだ「新ビジョン」を発表した。これを受け、厚労省は今年7月、都道府県に数値目標と達成期限を設定するよう求める計画の策定要領を示した。議論の過程で、全養協は「施設への偏見があり、現場が混乱する」などと反発していた。

 開会あいさつで、桑原会長は2016年の児童福祉法改正以降の流れについて「まるで戦後のように、施設の養育環境が劣悪だという施設否定の論調が多くを占めた」と強調。施設のイメージを悪化させることで新ビジョンを正当化しているとし、「現場は怒りと悔しさを覚えたのではないか」と改めて批判した。

 続く基調報告では、こうした新ビジョンを議論する検討会のメンバーに全養協として入れなかった理由について「子どもの養育に正面から向き合うという営みが弱かったため、現場の声を聞いてもらえなかった」と指摘した。その上で、今後、施設の将来像を示す報告書「児童養護施設近未来像3.」の作成に着手し、主体的に議論したい考えを表明した。

 全養協は03年、有識者も入れた委員会で「近未来像2.」をまとめている。当時、児童虐待問題が注目される中、施設の小規模化や地域分散化、里親との連携などについて提言しており、その後、社会的養護をめぐる議論でも受け継がれている。

 最後に桑原会長が「覚悟を持って変化しなければ、施設は10年後に自然淘汰される。行政のためではなく、子どもにとって養育と呼ぶにふさわしい施設文化を共に目指そう」と呼び掛けると、拍手が起こった。

 3日目のシンポジウムには、桑原会長と共に、山縣文治・関西大教授、村瀬嘉代子・日本心理研修センター理事長が登壇した。

 山縣教授は将来の施設の在り方について、家庭の悩みに応じる現在の児童家庭支援センターの機能を核として、再編してはどうかとの私見を披露した。具体的な同センターの役割を(1)相談や訪問支援などの必須機能(2)施設の入所機能(3)里親支援や養子縁組あっせんなどの選択事業ーーの三つに分類。「結果的に、機能の集まりを施設ととらえる考え方。施設ごとに事業内容が異なることになるが、施設には社会的養護のフロント機関を目指してもらえれば」と期待を語った。

 村瀬理事長は、子どもを心身ともに健やかに育てる養育の本質について「自分の存在を受け止め、生まれてきてよかったと実感すること」などと説明。施設職員には生活を通して子どもと関わることに意義がある点などを強調した。

最終更新:11/1(木) 10:00
福祉新聞

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