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マツダ、ロータリーエンジン車の復活なるか 世界のファンが注目

11/1(木) 15:01配信

ニュースソクラ

丸本社長「将来的にはロータリーエンジンを駆動用で」

 マツダの丸本明社長がロータリーエンジン(RE)車の復活に意欲を示し、ファンの注目を集めている。2018年10月2日に東京都内で記者会見し、REを発電用に使う電気自動車(EV)を2020年に発売すると発表したが、その場で、「将来的にはREを駆動用で使いたい」と発言したのだ。

 マツダはこれまでもREを発電用に使うEVを開発していることを明らかにしているので、EV発売自体はさほどサプライズはないが、駆動用に使うとなれば話は別。

 2012年に生産を終了した「RX-8」以来となる本格的なREスポーツカーの復活を望む声が強まるのは必至だ。

 マツダは1967年発売の「コスモスポーツ」で世界初のREの本格的な量産を始め、RX-8までREを大量生産した世界で唯一のメーカー。そのマツダが「お家芸」のREをEVの発電用に使う構想は以前からあるが、今回は社長が自ら「将来的には駆動用で使いたい」と発言した。

 実現するかどうかは分からないが、マツダがREを発電用だけでなく、駆動用エンジンとして復活させれば、往年の「RX-7」や「RX-8」を知る世界のモーターファンが注目するのは間違いない。

 今回、マツダが発表したのは、EVの航続距離を伸ばすための発電用REで、「レンジエクステンダー(航続距離延長装置)」と呼ばれる。このREは、あくまで発電用で、タイヤを動かす駆動力として使うことはない。

 日産の「ノートeパワー」などはガソリンエンジンを搭載するものの、動力は電気モーターで、搭載するエンジンはバッテリーを充電するための発電専用だ。一般的にはレンジエクステンダーやシリーズハイブリッドなどと呼ばれるが、マツダの考えもこれと同じということになる。

 しかし、このタイプは市街地走行で燃費がよくても、高速走行は燃費が悪化することが知られている。このためホンダの「アコードハイブリッド」は発進時や市街地は電気モーターで走行するが、高速道路ではエンジンの動力をタイヤに直接伝えることで高速燃費を高めている。

 この考えに照らせば、マツダがREを発電用だけでなく、駆動用に使ったとしても不思議はない。ただし、その場合のREは発電用よりも大型化し、システムが複雑化するのは避けられないだろう。エンジンと電気モーターのマッチングは難しく、高度な技術が必要となる。

 EVの発電用にREを搭載するレンジエクステンダー(シリーズハイブリッド)は独アウディも市販化の準備を進めている。「A1」をベースにした「A1e-tron」で、プロトタイプは排気量254cc、最高出力20PSのシングルREを搭載している。

 マツダの場合も発電専用であれば、この程度の小型REとなる可能性が高い。アウディはマツダと同じバンケル型REを搭載するという。

 もともとマツダは1960年代に当時の西ドイツのNSU社との技術提携で、同社のバンケル型REを採用した経緯がある。NSUもRE車を生産したが軌道に乗らず、現在のアウディに吸収された。1960年代にともにREを開発した盟友が、EVの発電用エンジンとしてREを採用するというわけだ。

 ここでREの特徴をおさらいしておこう。同じガソリンエンジンでも、通常のレシプロエンジンがピストンの往復運動で動力を取り出すのに対し、REはハウジングの中のおむすび型のローターの回転運動で動力を取り出すため、理論的には効率がよく、小型・軽量で静粛性に優れている。

 ただし、内燃機関として気密性に優れず、燃費がよくなかったため、REはマツダ以外では普及せず、結果的に世界の自動車市場から姿を消した。

 いわば自動車用エンジンとしてREの敗北が確定した中で、マツダとアウディが発電用とはいえ、REを再び採用する意義は大きい。REは一定の回転数を保ちながら発電機として使うには都合がよいからだ。

 燃費はレシプロエンジンに比べて悪くとも、REは小型で高出力、しかも静かに回転するというメリットがある。事実、アウディA1e-tronは「発電しても車内ではエンジンが動いているのかわからないほど静か」(関係者)という。

 かつてマツダのREは独特の個性、味わいがあった。RX-8を高速道路でドライブすると、5000回転までアクセルを踏み込んでも、レシプロエンジンの3000回転のような静粛性で、そのスムーズさはまるで電気モーターのようだった。

 一般の市街地ではレシプロエンジンとの違いが分かりにくいが、マツダのREは、レシプロとは比較にならない高回転域の伸びと静粛性で多くのファンを魅了した。

 もう一度、マツダの最新のREでドライブするチャンスが来るのか。2020年に向けたマツダの開発の行方を見守りたい。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

最終更新:11/1(木) 15:01
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