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どう教える?高校の新科目「公共」 現場は模索 教員に問われる公正さと柔軟性

11/1(木) 11:48配信

西日本新聞

 2022年度から始まる高校の次期学習指導要領では教科、科目が大きく再編される。特に注目されるのが主権者教育を担う新たな必修科目「公共」だ。18歳選挙権が既に導入される中、主権者意識を授業の中でどう育むか。新科目を待たず現場では模索が続いている。

 のどかな田園風景が広がる熊本県甲佐町。9月中旬、町で唯一の高校、県立甲佐高1年の教室で地方自治をテーマにした現代社会の授業が行われていた。

 指導する前田未宙(みそら)教諭(42)が生徒に呼び掛けた。「傍聴して気付いたところを挙げてみよう」。クラスの15人の生徒は2日前に町議会の一般質問を傍聴した。授業時間を使った傍聴は身近な政治に触れ、当事者意識を持ってもらおうと、16年から取り組んでいる。

議会傍聴で政治を身近に

 「議員は全員男性で答弁する町幹部も女性は1人だけだった」「発言時間を管理するタイマーがあったよ」。生徒たちからは次々と意見が上がった。

 同校は全校生徒105人の小規模校。募集定員120人に対し、1~3年の生徒数は30~40人で、定員割れの現状に町の危機感は強い。町は高校の魅力アップのため、高校生が利用する公営塾を開設したり、女子硬式野球部の設置を応援したりしてきた。町議会でも高校の現状はしばしば議論が交わされている。

 議会を傍聴して上月大和さん(15)は「町を良くしようと真剣に話し合っている姿が見えた。投票するときはしっかりと考えたい」。西本小都里さん(15)は「女性が増えればもっと暮らしやすい町になるかもしれない。しっかり町政の動きをチェックするようにする」と語った。

 丁々発止のやりとりだからこそ、予定調和の授業にはない学びがあるのかもしれない。前田さんも「人の言葉を聞くことで、自分の考え方も深まる。普段の授業よりもしっかりと考え、学ぶことができた機会だったのではないか」と手応えを感じていた。同校では卒業後、就職して社会に出る生徒も少なくない。「政治や選挙への参加のハードルを下げたい」と前田さんは言う。

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最終更新:11/1(木) 11:48
西日本新聞

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