ここから本文です

藤原喜明と高橋“人喰い”義生が26年の時を経て最初で最後の師弟対決!「リングの上でオヤジの顔を見たら、もう昔の道場に戻ってました」

11/2(金) 12:12配信

バトル・ニュース

 28日、東京・STAR RISE TOWERにてハードヒット『君の寝技に恋してる』が行われた。

 主催者であるパンクラスMISSIONの佐藤光留は「DDT体制の頃のハードヒットで「次、何をやろう?」って高木三四郎さんに言われて、「出来るかどうか分かりませんがやってみたいです」と言ったグラップリングだけのハードヒットが、まさかこんなに長く続くとは自分自身も思いませんでした。
 1年に1回、寝技だけの大会をやるんですけど、毎回言いようのない不安に2ヶ月間くらい襲われる大会です。でも、さっきのダークマッチ2試合で「ああ、やっぱり寝技だけって面白いな」、「俺たちプロレスラーだから、こういうのがやりたいんだ」っていう雰囲気になっています。
 今度の大会は、まず「君の寝技に恋してる」という大会名だけが先に決まりました。今年の春ぐらいに色々考えていたとき、「君の瞳に恋してる」(原題: Can’t Take My Eyes Off You)という往年の名曲がかかっていまして、これはプロレスで言ったら寝技だなと思ったんです。
 それから大会(の開催)だけが6ヶ月前に決まり、会場を決めるまでに4ヶ月、出場選手が決まるまでに2ヶ月、設営は開場の2分前。常にギリギリのハードヒットですが、お陰さまで用意した席はだいぶ埋まっております。
 そこで、ぜひハードヒットのリングで寝技だけで一番を決めたいということで、強者に4人集まっていただきました。第1回寝技の達人トーナメントという……これも「料理の鉄人」を見ていて決まりました。そのときはこんな豪華なメンツになると思いませんでしたが、現チャンピオン、元チャンピオン含めて集まってくれました。これはもうプロレス界で一番寝技が強い奴だと、声を大にして言っていいメンツでのトーナメントになります。優勝選手が決まったら、みなさん写真を撮ってSNSにあげるときに「こいつがプロレス界で一番寝技が強いんだ!」と、勝ったのにプレッシャーをかけていただければと思います」と語る。

 ハードヒットは、いつも温かい雰囲気だ。出場する選手たちはリング上で起こっていることを楽しみ、観客は選手たちを見守りながら楽しむ、みんなが家族のような、親戚のような、そんな懐かしくて温かい空気が会場を包んでいる。
 この日は、新しい試み「第1回寝技の達人トーナメント」が行われ、和田拓也、桜井隆多、松本崇寿、のりお(ロッキー川村)が抽選で組み合わせを決め、闘った。
 総合格闘技の世界でも活躍する選手たちの豪華なトーナメント。階級も関係なく、単純に誰が強いのかを決める。パンクラスや総合格闘技を長く見てきたファンがマニアックに楽しむだけでなく、過去のことは何も知らなくても、すぐに入り込めて楽しむことができる。それがハードヒットの良さではないだろうか。
 しかし、メインだけは違った。
 かつて師弟関係にあった2人が入場すると、急にピンと緊張感が張り詰め、会場は静まり返った。

 高橋“人喰い”義生と、藤原喜明。
 日大レスリング部で活躍した高橋は、大学卒業後、プロフェッショナル藤原組に入門した。船木誠勝、鈴木みのるらとともに、毎日、藤原にしごかれまくった。2年後、高橋は船木、鈴木とパンクラスを旗揚げし、藤原とは袂を分かつこととなったが、藤原組での2年間が、技術だけでなく、高橋のプロとしての全ての礎をつくったと言って過言ではない。

 わずか1年でプロデビューした高橋だが、藤原とは対戦しないまま退団となった。それから四半世紀たった今、高橋が藤原との対戦を熱望したのはなぜなのだろうか。
 それは、高橋の心境の変化にある。
「前はね、本当に闘うことしか考えてなかったんですよ。とにかく毎日毎日、相手の身体と心を折るってことしか考えていなかった。もともと僕はそんなに戦績がいい方じゃなかったけど、あの頃は、実際の勝敗じゃなくて、相手に『高橋とは二度とやりたくない』と思わせれば勝ちだと思っていましたからね。でも最近、そうじゃなくて、自分と闘う、自分の心と向き合うっていう方向に変わって来ているんですよ」

 実はUFCに参戦していた頃から、この考えの萌芽はあったようだが、当時はとにかく勝負が大切だった。しかし、今年4月に事故に遭って入院した時の経験が、高橋の進む方向を大きく変えたのだ。
 病院職員に見つからないよう、朝4時に起きてトレーニングをする姿を見て、自分もトレーニングをしたいという患者が高橋のもとに集まり始めた。いつも車椅子に座って、日がな一日おしゃべりをするだけだった患者が、自分の足で立つ練習を、自分の意志で始めた。
 高橋は、そんなみんなの中に活気があふれていくのを強く感じた。朝の光を浴びた「気」の力を集め、元気玉のように放つと、それが人に伝わっていく。目には見えないけれど、プラスのパワーが人の気力を充実させ、前向きな気持ちにしていく。
 精神を充実させ、自分の身体を自在に動かせるようになること。「気」には大きなパワーがある。それを究めたい。高橋はいま、人を壊すのとは全く逆の方向にシフトし始めているのだ。
 だから、高橋は自分の原点である藤原との対戦を望んだ。新しい高橋義生に切り替わろうとしている今だからこそ。

1/2ページ

あなたにおすすめの記事