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なつかない黒猫に“煮干し作戦” 至福の3秒間

11/2(金) 16:00配信

sippo

犬童一心/映画監督

 うちのチャッピーやグーグーは寂しがり屋で、スキンシップ大好き猫。でも、猫にはいろんな奴がいて、飼い主との関係もそれぞれ違います。

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 ある日の夜の、映画プロデューサーEさんとのLINEのやり取り。

 「あのさ、家の、なつかない黒猫最近どうなの?」

 「変わんないですよ」

 「そうか……どう思ってるのその黒猫について?」

 「え……」

 「真っ黒だからアンコなんだよね。アンコちゃん、なつかないんでしょ」

 「……めちゃくちゃ好きですよ」

 「ふーん、今後どうしていきたいの、その関係?」

 「今のままでも大丈夫です」

 「なんか、大丈夫って、ずいぶん消極的だよね」

 「煮干しをあげながら超微速で、接近中です」

 「どのくらい接近してるの」

 「顔を合わせても3秒くらいは逃げません」

 「前はどうだった」

 「一瞬で逃げました」

 「煮干し作戦、始めてどのくらい経つの?」

 「1年半くらいですね」

 「で、3秒かあ……虚(むな)しくならないの?」

 「全くないです」

 「……愛だね」

 「ですね」

 「保護猫だったよね」

 「ですね」

 「どこにいたの?」

 「麻布の動物病院です。保護猫が3匹いて、その1匹です」

 「運命だね」

 「ですかね」

 「一緒に撮った写真とかないの?」

 「……1枚だけ」

 「へえ」

 「不妊手術前に、1枚だけ撮れたことがあって」

 「送ってよ」

 写真が送信されて来る。

 「おっ、Eさん嬉(うれ)しそうだねえ。たった1回の感触どうだった?」

 「ツヤツヤ」

 「あのさ、これ、このまま朝日新聞のエッセーにしていい?」

 「え?」

 「タイトル、奇跡の1枚」

 「えーっ」

(犬童一心/映画監督)

sippo(朝日新聞社)

最終更新:11/2(金) 16:00
sippo

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