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元「日本最長距離を走るバス」運行終了へ 本州~九州の夜行バス、古参の撤退相次ぐ現状

11/3(土) 14:10配信

乗りものニュース

名古屋~長崎の夜行バス消滅、京都・大阪~長崎は単独運行に

 名古屋~長崎間を結ぶ夜行高速バス「グラバー号」が、2018年11月末をもって運行を終了し、約29年の歴史に幕を閉じます。さらに、京都・大阪~長崎間の夜行高速バス「オランダ号」も、12月から長崎自動車(長崎バス)が運行から撤退し、近鉄バスの単独運行に変更される予定です。じつはここ数年のあいだに、本州~九州間の夜行高速バスで廃止や運行撤退といった動きが相次いでいます。

【表】かつては8路線もあった名古屋~九州間夜行バス一覧

 名古屋~長崎間を結ぶ夜行高速バス「グラバー号」は、1989(平成元)年9月1日に名古屋鉄道と長崎自動車が共同で運行を開始しました。その運行距離約954kmは当時、高速バスとしては日本最長を誇っており、1990(平成2)年10月の「はかた号」(福岡~新宿)運行開始までその座を維持。一部のバスファンなどから注目されていた路線でもあります。

 1999(平成11)年3月には、名古屋側の運行事業者が名鉄グループの日本急行バス(のちの名古屋観光日急→名鉄観光バス)へ移管。さらに2009(平成21)年2月に名鉄バスへ再移管され、現在に至ります。中京圏と長崎県を直行する交通機関として、運行開始当初から乗車率が高い路線としても知られ、繁忙期には続行便が付くことも珍しくありませんでした。

 一方の京都・大阪~長崎間を結ぶ「オランダ号」は、1988(昭和63)年12月22日に近畿日本鉄道(現・近鉄バス)と長崎自動車が共同で運行を開始。数ある高速乗合バスのなかでも老舗の部類に入ります。のちに、大阪梅田~長崎線「ロマン長崎号」(阪急バス→阪急観光バス/長崎県交通局)の開業でタブルトラック(同一区間で2路線が競合)状態になりますが、京都への延伸や長崎市内の停車停留所の新設などで、次第に固定客を獲得していきます。「オランダ号」も「グラバー号」と同様、繁忙期には続行便が付くことが珍しくありませんでした。

かつては8路線もあった名古屋~九州間夜行バス、いまは…

 今回の「グラバー号」の運行終了と、「オランダ号」の近鉄バス単独運行化により、長崎自動車は夜行高速バスの運行から完全に撤退します。なぜこのような決断に至ったのでしょうか。

 長崎自動車の公式サイトによると、「LCC(格安航空会社)の就航や、燃料費高騰といった様々な外部環境の変化もあり、今後の収支改善が見込めず、運行を維持することが困難となった」としています。

 また、地元紙(長崎新聞)では、「同路線の採算ラインの利用者数は1便当たり17~18人。しかし、ここ数年は格安航空会社(LCC)の就航や新幹線の整備などで利用者が少なくなり、2017年の平均人員は15.8人にまで減少。2018年は14.9人にまで落ち込む見通しとなっており、運行を維持することが困難になった」と報道しています。名鉄バス側の公式見解が明らかにされていないものの、これら公式サイトや新聞報道を見る限りでは、外部環境変化による採算悪化が主な要因とみてとれます。

 ところで、夜行バスの最盛期といわれるバブル期(1990年代前半)には、じつに8路線も名古屋~九州間の夜行高速バスが運行されていました。当時、中京圏在住の九州出身者が多かったことに着目して順次路線が開設されたともいわれていますが、このころは航空機や新幹線といった並行交通機関の利便性が必ずしも良くなかったことから、どの路線も盛況を呈していました。

 しかし、「グラバー号」が廃止されることにより、2018年12月以降は名古屋~福岡間2路線(「どんたく号」「ロイヤルエクスプレス」)と、名古屋~熊本間「不知火号」の3路線にまで縮小されます。そのおもな要因は、利用客の減少による路線の採算悪化。加えてここ数年は深刻な乗務員不足も要因のひとつになっています。

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