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ザ・バーズの後期が過小評価されるきっかけになった罪作りなカントリーロックの名盤『ロデオの恋人』

11/4(日) 18:05配信

OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はザ・バーズの68年発表の6thアルバム『ロデオの恋人』をピックアップする。そのサウンドはもちろん、ルックスも含め、60年代のアメリカで最もイカしていたロジャー・マッギン率いるザ・バーズ。今回、取り上げる『ロデオの恋人』はバーズ流のフォークロックを完成させた『ターン・ターン・ターン』やサイケデリックサウンドに挑んだ『霧の5次元』とともに彼らの代表作に数えられることが多く、現在ではカントリーロックの名盤として揺るぎない評価を確立しているのだが、実は彼らの代表作であると同時に後期バーズの過小評価を生むきっかけになった罪作りな作品でもあるんだから面白い。
※本稿は2014年に掲載

カントリーロック・ブームに先鞭をつけた作品

そもそも綻びの多い作品なのである。まずメンバーが相次いで脱退したため、バンドの状態はガタガタだった。新メンバーを加え、アルバムの制作に着手したものの、今度はアメリカンミュージックの歴史を辿りながらその未来を提示するというマッギンが思い描いていた壮大なアイディアが頓挫してしまう。そこでマッギンに代わって、レコーディングの主導権を握ったのが熱心なカントリー愛好家だった新メンバー、グラム・パーソンズだった。

契約の関係上、パーソンズのリードヴォーカルが使えず、「クリスチャン・ライフ」と「涙の涸れるまで」の2曲がマッギンの歌に差し替えられるというドタバタもあったものの、結果、その後、カントリーロック・ブームに先鞭をつけた作品と謳われることになるアルバムが完成した。

バーズが得意としていたボブ・ディランのナンバーを見事、バーズ流のカントリーにアレンジした「ゴーイング・ノーホエア」「なにも送ってこない」、当時最もプログレッシヴだったロックバンドが真正面からブルースグラスに挑んだ「私は巡礼」「プリティ・ボーイ・フロイド」、R&Bナンバーをメランコリックなカントリーワルツにアレンジした「涙の涸れるまで」、そしてパーソンズの非凡なソングライティングの才能を印象付ける「ヒッコリー・ウィンド」「100年後の世界」。ほぼ全曲が名唱・名演である。

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最終更新:11/4(日) 18:05
OKMusic

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