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<西日本豪雨>みなし仮設で雨漏り 修繕に補助なし

11/5(月) 20:23配信

毎日新聞

 西日本豪雨の被災者が住む民間住宅の「みなし仮設」の中には、物件に雨漏りなどの不備が見つかるケースがある。物件には賃料条件があるため十分な数が確保できず、築年数が長い建物も含まれるからだ。だが、リフォーム代を補助する制度はなく、専門家からは被災者を支援する制度の新設を求める声が上がる。【高橋祐貴】

 松本豊弘(かずひろ)さん(51)は8月中旬から、岡山県倉敷市内にある築30年以上のみなし仮設に内縁の妻と2人で暮らす。元々は解体予定の空き家だったこともあり、風呂場や居間の押し入れから雨漏りがある。下水道の異臭も室内に漂い、新たに購入した4台の空気清浄機をつけっぱなしの状態だ。リフォームしたいと考えているが、冷蔵庫や車も買い直したので、修繕費を出す余裕はない。

 松本さんは倉敷市真備町有井にあった借家の自宅が豪雨で全壊した。みなし仮設を探すため不動産会社を回ったが、ペットの犬4匹も一緒に住める物件はなかなか見つからない。ボランティアの紹介で今の住まいの所有者と出会い、移り住んだ。入居前に所有者が壁紙や床のタイルを張り直してくれたものの、住んでみると雨漏りや異臭が判明した。退去後の生活を考えると、少しでも貯金を作っておきたい。「耐震強度も心配だが、市や県に相談しても全く耳を傾けてくれない。みなし仮設に移れば、支援は終わりなのか」と訴える。

 みなし仮設は、自力で住居を確保できない被災者のため、自治体が民間住宅を借り上げて無償で提供する制度だ。被災者は不動産会社などを通じて物件を見つけ、自治体に申請。審査を経て数日後に決定通知が出て、早ければ1週間程度で入居できる。居住期限は2年間だ。岡山県内では2日時点で9市町3263世帯に決定通知が出されている。

 ただ、提供される住宅には条件がある。賃料は2人以下なら6万円、3、4人なら8万円、5人以上なら9万円をそれぞれ超えることはできない。被災者からは「物件が限られる」との声が相次ぎ、同県は8月、1981年以前の旧耐震基準で建てられた物件も対象に含めた。

 ところが、旧耐震基準で建てられたような築年数が長い物件だと、耐震性の問題などからリフォームが必要な場合がある。同県は決定通知を出す際、建物の耐震性までは考慮していないためだ。一方で修繕費を補助する制度はなく、物件の所有者か被災者が負担するしかない。同県は「みなし仮設に入居した被災者から、修繕に関する相談は複数受けている。しかし、新たに補助金や支援制度を設ける動きは今のところない」としている。

 ◇被災者更に苦しい思いを

 仮設住宅や災害時の公的支援に詳しい長岡技術科学大(新潟県長岡市)の木村悟隆(のりたか)准教授の話 東日本大震災でも「みなし仮設」に入った被災者が、自腹でリフォームを強いられた事例があった。不適格なみなし仮設を適格と判断することで、高齢者や低所得者といった被災者が更に苦しい思いをすることがある。不適格なみなし仮設の修繕費補助制度の創設を検討するよう、県が国に働き掛けるべきだ。

 ◇岡山県内の「みなし仮設」

決定通知数(県など調べ)

岡山市  20世帯

倉敷市 3149世帯

笠岡市  6世帯

井原市  5世帯

高梁市  31世帯

新見市  2世帯

赤磐市  1世帯

矢掛町  10世帯

総社市  39世帯

※2日時点

最終更新:11/5(月) 21:45
毎日新聞

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