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肌寒い季節に食べたい「鴨せいろ」、実は間違いから生まれた?

11/5(月) 6:30配信

食べログマガジン

おいしい「鴨」そばが食べたい!

秋が深まると無性に恋しくなるのは、「鴨南蛮」や「鴨せいろ」。人の手で飼育される合鴨も、野生の真鴨同様、寒くなるにつれて脂が乗り、美味しさを増すものです。そこで今回は、東京でおいしい鴨そばを楽しめる3軒を、そば研究家の前島敏正さんに教えていただきました。

銀座長寿庵

最初にご紹介いただいたのは、「鴨せいろ」発祥の店とも言われる老舗「銀座長寿庵」。「そばはもちろん、鴨そのものも美味です」と前島さんが太鼓判を押す「元祖 鴨せいろ」(税込1,100円)は、訪れる人の7割以上が注文する人気メニューです。

「元祖 鴨せいろ」の特徴は、埼玉県幸手産の合鴨肉の、2種類の部位を使っていること。多くのそば店が「鴨せいろ」に使用するのは合鴨のロース肉(胸肉)だけですが、「銀座長寿庵」ではロース肉と共にもも肉も使っています。3代目の天野徳雄さんに理由を尋ねると、それぞれの部位の魅力を教えてくれました。

「ロース肉は合鴨特有の香りが豊かな部位ですが、もも肉は脂が多い部位。もも肉の脂の不飽和脂肪酸は液体に溶けやすく、火を入れても硬くなりにくいという長所があります。そのため、最初に細かく切ったもも肉をつけ汁に入れて温め、つけ汁に旨味を移し、それからロース肉とネギを入れて仕上げるようにしているのです」

そんな手間をかけて作る「鴨せいろ」の原型が「銀座長寿庵」で誕生したのは、昭和38年の春。自分の食べかけの「ざるそば」の汁を誤ってこぼしてしまった2代目店主が、近くで幼い娘が食べていた「鴨南うどん」の汁にそばをつけて食べてみたところ、意外な美味しさに気づいたのがきっかけだそうです。

“温かい汁に冷たいそば”という取り合わせは今でこそポピュラーですが、当時は「冷たいそばは冷たい汁で食べるもの」だった時代。そばのつけ汁も、冷たいそば用の「辛汁」と、温かいそば用の「甘汁」の2種類が作られていましたが、「銀座長寿庵」では中間の辛さの汁が「鴨せいろ」のために考案されました。

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