ここから本文です

どんな記事より命が大事 紛争地取材の課題とトラブル例を紹介する

11/6(火) 13:39配信

FNN PRIME

国民保護は国の責務

安田純平さんの帰国は目出度い限りである。
詳細は知らぬが、日本政府の粘り強い対応が功を奏したのであろう。
“自己責任”ゼロは有り得ないが、同時に国民の保護は国の責務である。
時間は掛かったが、安田さんの無事帰国と我が国政府がその責務をきちんと果たせたことを筆者は素直に喜ぶものである。

(画像)湾岸戦争で粉々に破壊された建物

この機会に改めて注目を浴びている戦場・紛争地取材の課題とトラブルについて、以下、少しだけ事例を紹介したい。

戦場・紛争地取材のコスト

戦場・紛争地ではリスクが大きいのは言うまでも無い。しかし、同時に、取材する側にとって頭が痛いのはとにかく金が掛かることである。生死に関わるリスクをできるだけ小さくする為の費用の発生が不可避で、これがやたらと掛かるのである。

古い例になるが、1990年代、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボが長期にわたりセルビア勢に包囲され戦闘が続き、欧米を中心に世界中のメディアに注目された時代があった。当時、ロンドン特派員であった筆者も現地入りを目論んだのだが、難題はリスクとそれに対応する装備と費用であった。

セルビア勢は、自分達に不利な報道しかしない西側メディアを敵視、西側メディアのメンバーを撃ち殺したスナイパーに報奨金を出したと言われていた。これに対抗するには装甲車両が必要で、欧米メディアは特注の大型4輪駆動車を現地に持ち込んでいた。その費用を調べると1台辺り優に2000万円を超えることがわかった。

戦場では生命・傷害保険は適用対象外

もちろん、それだけでは万全とはいえない。

アメリカのテレビ・ネットワークのプロデューサーが空港から取材拠点のホリデー・インに向かう途中、狙撃され死亡した。彼は車の中、後部座席の真ん中に座っていたらしいのだが、不幸にもその時防弾チョッキを着用していなかったと言われている。

性能の良い防弾チョッキも費用が掛かる。このサラエボ包囲の前、湾岸戦争の時にイギリス軍が使用するのと同じ化学防護服・ガスマスク・防弾チョッキ・ヘルメットを支局で購入したが、この時、ワンセット40~50万円したように記憶している。

加えて難題だったのが保険であった。サラエボは戦場故、通常の生命・傷害保険は適用対象外になる。ロイズ保険組合で特別な戦場保険を手配しなければならなかったのだが、その掛け金が1人当たり1日1,000米ドルという見積もりであった。もちろん掛け捨て。カメラマンやサウンドマンのギャラも高騰し、こちらも1人当たり1日1,000米ドルと言われた。間違いではない。保険もギャラも1人1日1,000ドルだった。

費用が掛かり過ぎた。サラエボ独自取材は結局諦めた。

1/3ページ

最終更新:11/6(火) 13:39
FNN PRIME

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ