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【GLIM SPANKY インタビュー】いい感じの空気感を持ったアルバムを作りたかった

11/7(水) 13:02配信

OKMusic

針を落とした瞬間に鳴り響く…と思わず書きたくなる幕開けのニューアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』。そして、緩急を付けながら、やがて世界は緩やかな余韻とともに終わらない終わりを迎える。GLIM SPANKY流サイケディリックミュージック、新境地へ!

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──自由度、進化をさらに高め、深化も進めた作品集ですね。

松尾:常に進化したいという気持ちがあるので、今回はスルメ曲をたくさん書こうと。今まではメッセージ性のある曲を多く書いてきたんですけど…もちろんキャッチーであることは大事ですけど、ぶち上げるというよりはもうちょっと緩く、いい感じの空気感を持ったアルバムを作りたかったんです。進化を伝えるのもいいけど、大きな心で大らかなサウンドというのが自分の中のコンセプトでした。あと、自分たちの桃源郷を探すというのも。

──ゆったりとした余韻や隙間も楽しめました。

松尾:はい。特に今回は低音をがっつり聴かせられるサウンド作りをしたり、隙間がある音楽というのにもこだわりました。シンプル・イズ・ベストに。あとは本来の意味でのノレるリズム…BPMとか音圧とかではなく、国籍関係なくノレるロックミュージック、ロックビートにもこだわりました。

亀本:日本武道館と『FUJI ROCK FESTIVAL』を経験して、より大きいステージでやることを僕はイメージしていました。でも、いわゆる日本のショービジネスの中のテンプレートというか、ステレオタイプ的な見せ方をするような楽曲だったり、ライヴの進め方をしても、僕らには向かないとは思ってましたね。昨年の『FUJI ROCK FESTIVAL』でGorillazを観たんですけど、そんなにキャッチーな曲でもないし、美しいコード進行やメロディーがあって感動的な展開があるというものでもないのに、ちゃんとグリーンステージのトリに相応しい音と演出があって。そういうあからさまな感動的な演出がなくてもステージ映えする、素晴らしさがちゃんと伝わるアーティストになりたいと思ったので、僕的にはそういうところを意識して制作に取り組んでいました。

松尾:みんなに届く音楽を作るようにはしてるんだけど、もっとリスナーに託してもいいかなとも思ったので、あえて歌詞ではぼやかした表現をしたりしています。

──アルバムのリード曲は「TV Show」ですが、こういう挑戦的なメッセージを放つ楽曲をリード曲にするっていうのはGLIM SPANKYじゃないとできないなと。カッコ良いです!

松尾:そうであったらいいなと思いながら決めました。こういう曲をどメジャーでリード曲にするっていうバンドは他にいないと思うので。それがロックの中では当たり前になったらいいなというメッセージと世間への皮肉も込めて(笑)、この曲は作りました。サウンドも隙間がめちゃくちゃあって、メロディーもたくさん作らない…その挑戦も自分の中では面白いポイントだと思います。

亀本:僕は結構やさしさが出ちゃって(笑)。ほんとだったらリフとそこからもうちょっと展開したリフ風のバッキングを繰り返すだけでいいはずなんだけど、サビっぽいサビを作ることで聴きやすくしたりして。でも、リフのパートと、サビの立ったメロと、しっかりしたコード進行の対比、そこがいいバランスでできたかなと。

──この曲と同じくL.A.で録音された「Looking For The Magic」はゆっくりと世界が広がっていく楽曲で。

松尾:この曲はフォーキーなのかサイケなロックにいくのか最初は分からない中で、ちゃんとサイケなロックに花開いていくというのが肝ですね。あと、ニック・ドレイクとかがやっているダドガドチューニングっていう変則チューニングで作った初めての曲だったり、ミックスヴォイスを多用するような歌い方をしたり、いろいろ挑戦をしています。

──私、《列車が砂を纏って追い越して行くけど 今だけ腰を下ろして この景色になりたい》の一節が大好きで。

松尾:私もここの歌詞が好きで…あっ、ちょっと観せたいものがあるんですよ! (スマホで5月にプライベートで行ったL.A.旅の映像を観せながら)こんなふうに砂漠の中をめちゃくちゃ長い貨物列車が走ってたんです。どこに向かっているのか、何の荷物を運んでいるのか分からないけど、きっとその中にはみんなの期待が詰まっていて、それを求めている人がいる…ってことにすごく感動して、この景色の中にずっといたいと思って書いたんです。まさにL.A.の旅がきっかけでできた曲ですね。

亀本:僕はそのことをあとから聞いて“あっ、そうなんだ”と。僕はLed Zeppelinの「Ramble On」のギターのハモりみたいなことをやりたかったので、そこは砂漠というよりはUKの森みたいなサウンドになってますね。

──1曲目「4 Dimensional Desert」のタイトルに“Desert”という言葉が入ってますが、この曲も関連しています? 砂漠のイメージって。

松尾:私はそういうイメージでミックスまでしてました。最初は亀本が“SEを作ろう”って言って演奏だけの曲を聴かせてくれたんですけど、そこから私は夜の砂漠で起きていること…遠くから誰が歌っているのか分からない歌が聴こえてきたり、バスが走っていたりしているイメージが浮かんで。そういうものがいろいろ存在する曲ということで、タイトルも“四次元の砂漠”にしました。

──最初の話に出た“大らかさ”というのは「Hello Sunshine」に一番表れていますね。

松尾:Aメロは68年のUKサイケみたいなフルートを入れて、サビになると2ビートのカントリーっぽいアメリカンな感じになり、そこを越えるといろんなパーカッションが入ってワールドミュージック的になるという。“世界中、みんなの朝は素晴らしい”というメッセージを込めたくて。逆に「ハートが冷める前に」はギターソロをどう目立たせるかをすごく考えました。あと、サビが7thコードなんで、いなたいブルースソングになりすぎないようクールにっていうのは意識しました。

──「Love Is There」は歌詞は抽象的ですけど、タイトルが伝えたいことを象徴しているといいますか。

松尾:そうですね。抽象的な中にもメッセージがあって。今までのアルバムは結構トドメを刺す曲が多かったし、それは今も気に入っているんですけど、今回はそうじゃないこともやってみたかったんです。

亀本:アルバム自体、ハードじゃない曲で終わるのも初めてだしね。鉄板じゃない終わり方もいいなと思います。

取材:竹内美保

OKMusic編集部

最終更新:11/13(火) 19:16
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