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塚本晋也監督、新作『斬、』に込めた亡き石川忠さんへの思い

11/8(木) 17:36配信

シネマトゥデイ

 塚本晋也監督が初の時代劇に挑んだ映画『斬、』の外国特派員協会記者会見が、7日に都内で行われた。客席にはイランの鬼才監督アミール・ナデリの姿もあり、塚本監督に鋭い質問を投げかけていた。

生前の石川忠さんと塚本晋也監督

 第75回ベネチア国際映画祭でワールドプレミア上映されて以来、トロント、釜山など、世界中の映画祭で話題を集めた本作。キャストに池松壮亮や蒼井優を迎え、江戸時代末期を舞台に、人を斬ることに苦悩する侍の姿を通じて、生と暴力の本質を問う。

 海外で高い評価を受ける塚本監督だけに、記者たちも上映後の会見に熱心に聞き入っていたが、その中に、西島秀俊主演の『CUT』(2011)などで知られるナデリ監督の姿も。「今回、『斬、』を観るのは2回目」と切り出したナデリ監督は「今回に限らず、塚本監督の作品でいつも思うのは、他の監督と女優の扱い方が全然違うということ。それについてお聞きしたい」と質問を投げかけた。

 その質問に塚本監督は、女優の演出方法は作品ごとに違うと前置きしつつ、「基本にあるのは女性のすばらしさにひれ伏しているということ。いつも女優さんに敬意というか、尊敬の念があるというのが基本」と説明。「俳優の経験がない方を呼ぶときは、その人の存在感に敬意を表しつつ、映画的な演出を指導することはありますが、蒼井優さんはもともと素晴らしい女優さんなので、細かい演出はせずに、プロットの時から(台本を)お渡しして、お願いしますと委ねました」と明かした。

「普段、蒼井さんは脚本を読みこんで、自分の中で1本の筋が通るようになるまで読んでから、演技をするそうなんですが、僕の脚本を読んだ時は1本筋が通らなかったらしくて。それならそうで、いろんな顔を出そうと思ったそうです。そのプランが素晴らしいなと」

 またナデリ監督は、劇中の音楽についても質問。塚本監督は、「音楽は、『鉄男 TETSUO』からずっと一緒にやっていた作曲家の石川忠さん。この映画を作るときにも音楽をお願いしたのですが、撮影が終わって編集している時に、長い闘病の末に亡くなられてしまった。しかし、他の作曲家の方にお願いする気も起きなかった」と振り返る。

 さらに「石川さんへの鎮魂の意味も込めて、『鉄男 TETSUO』から最新作までの曲を全部聴いて、その中で使える曲を映像に貼りました。そしてそれだけでは足りなかったので、石川さんの奥様に協力してもらって、おうちにあった音楽の断片を全部もらって聴きながら、貼っていった。その間は、石川さんと対話をしながら、今までの仕事を振り返る時間となった。石川さんとのコラボレーションになったという感じでしたね」としみじみ付け加えた。(取材・文:壬生智裕)

映画『斬、』は11月24日より渋谷ユーロスペースほかにて公開

最終更新:11/8(木) 17:36
シネマトゥデイ

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