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AIが「バブル崩壊味のチョコ」を考えたら“とがった味”に 「おいしく作るのが難しかった」――制作者の苦悩

11/8(木) 12:49配信

ITmedia NEWS

 NECがこのほど発表した「あの頃は CHOCOLATE」は、AI(人工知能)を活用して新聞記事を分析し、その時代の“ムード”を味で再現したチョコレートだ。その味は「1969 人類初の月面着陸味」「1991 絶望のバブル崩壊味」など、ユニークで想像もつかない5種類。「どれもとがったものばかりで、レシピを作るのが難しかった」と、レシピづくりに関わったダンデライオン・チョコレート・ジャパンの担当者は話す。

【画像】完成した5種類のチョコレート

時代の“ムード”、どうやって味にする?

 チョコレートを作るため、NECは新聞の一面記事データから、頻出する600語の単語を選定。「熱い」「冷たい」など、時代の変化を感じられるような単語を選んだ。

 単語が持つ雰囲気を味に落とし込むため、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンが7つの味覚指標(甘味、苦味、酸味、ナッツ感、フローラル、フルーティ、スパイシー)を決定。NECは600語全てに指標に基づくデータを設定し、過去60年分の新聞記事に載っている単語をAIに学習させた。学習データは合計約14万件に上ったという。

 その後、各年の新聞記事を分析し、味覚指標のレーダーチャートをそれぞれ作成。印象的な味覚が出た「1969年」「1974年」「1987年」「1991年」「2017年」の5つを選び、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンにレシピ制作を依頼した。

 しかし、その依頼はレシピ制作者にとっては異例のものだった。

フレーバーありきのチョコレート作りは「初めての挑戦」

 「普段はカカオ豆の特徴に合わせてチョコレートのフレーバーを決めるが、今回はその逆。フレーバーが最初に決まっていて、それに近いものを再現するのは、初めての挑戦だった」と、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンの伴野智映子さん(チョコレートプロダクションマネージャー)は明かす。

 しかも、選ばれた5年のレーダーチャートはどれも個性的。「バブル崩壊は、苦くて酸っぱくて苦しい感じの味。そのままではとても『おいしそう』と思えない。いかにチョコレートとしておいしく食べられるようにするか……。考えるのはとても難しかった」という。

 レシピ制作は、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンが蓄積してきた商品開発データを参考に、各年のフレーバーに向いたカカオを選ぶところから始めた。例えばバブル絶頂味に使ったカカオは、華やかなフレーバーのホンジュラス産。「満場一致でこれを使おうと決め、口に入れた瞬間バブルの華やかさが感じられる味に仕上げた」(伴野さん)

 記者も試食させてもらったが、口に入れると花のような香りがふわりと広がった。味は甘くまろやかで、後からほんのりと苦みや酸味も感じられる。しかし、それぞれのチョコレートのおいしさは食べる順番によっても変わるという。

 全種を試食したNECの橋本和泉さんは「バブル絶頂味の後に崩壊味を食べると、苦すぎて飲み込めなくなった」と話す。「最初にバブル崩壊味を食べた時は、後を引く苦さで、お酒に合いそうだと思ったが、絶頂味と食べ比べると辛かった。絶頂と崩壊の落差がよく分かる」(橋本さん)

 完成したチョコレートは、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンの店舗(ファクトリー&カフェ蔵前、京都東山一念坂店)やオンラインショップで販売予定。単品は1620円で、5種類入りのアソートボックスは3240円(いずれも税込)。伴野さんのおすすめは「1987 魅惑のバブル絶頂味」と「2017 イノベーションの夜明け味」という。

ITmedia NEWS

最終更新:11/8(木) 13:17
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