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【二宮寿朗の週刊文蹴】川口引退…いつも心に「炎」を燃やして

11/9(金) 10:07配信

スポーツ報知

 「現役を続ける理由はサッカーが好きということもありますけど“このままじゃ終われない”という思いがあるから」

 昨夏、川口能活がそう語ってくれたことがある。炎の守護神らしく、目をギラつかせながら。

 4度のW杯出場、代表GK歴代1位の116キャップなど輝かしい実績を誇ってきたレジェンド。96年、アトランタ五輪でブラジルを破った“マイアミの奇跡”、97年、初のW杯出場をつかんだ“ジョホールバルの歓喜”など歴史にその名を刻んできた。積極的な飛び出しや神懸かったセービングでピンチを救ってきたこと、的確なキックでチャンスをつくってきたこと数知れず。「何でもできるGK」の先駆けだった。

 だが、30代なかばに差し掛かるとけがとの闘いが待っていた。磐田時代の09年には右足脛(けい)骨骨折、12年には右アキレスけん断裂と選手生命を揺るがしかねない大けがを負った。

 それでも不屈の闘志ではい上がってきた。14年からはJ2岐阜、16年からはJ3相模原に移籍して、真の復活を目指してきた。

 どんな試練が襲いかかろうとも前を向くことができたのは「20年前の経験があるから」と彼は言った。それは監督の解任劇や国立競技場での暴動といった出来事を経て、ジョホールバルでW杯切符をもぎ取ったアジア最終予選の経験。22歳の彼はそこで大きな人生訓を得たのであった。

 「あれほどの強烈なプレッシャーは、ほかにない。あのプレッシャーに打ち勝ってW杯に行った経験があるから僕はどんなときも“最後は負けない”“何とかなる”って思うことができるんです」

 43歳。出場機会が減ったとはいえ、川口からギラつきが消えたことはなかった。心の炎を、常に燃やし続けてきた。

 12月2日、リーグ最終節・鹿児島戦。現役最後の「炎」をしっかりと見届けたい。(スポーツライター)

最終更新:11/9(金) 10:07
スポーツ報知

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