ここから本文です

風疹予防へ注射啓発、被災者応援…広がる漫画の「無料公開」

11/8(木) 9:38配信

産経新聞

 西日本豪雨の際、雑誌を被災地に輸送できなかったとして「週刊少年ジャンプ」(集英社)など4大週刊少年漫画誌が該当の号をそろって無料公開して以降、漫画をインターネット上で無料公開する動きが広がっている。出版社は被災者への応援や病気の予防啓発の意味を込め、「漫画だからできる社会貢献の形だ」と説明している。

■「注射1本で防げる」

 講談社は漫画配信サービス「コミックDAYS(デイズ)」で10月11日から24日にかけて、産科医が主人公の漫画「コウノドリ」の「先天性風疹(ふうしん)症候群」を扱った3話分を無料配信した。風疹患者の急増という報道を受けたもので、同症候群のため生まれつき目が見えず心臓に障害を抱える女の子や、妻の妊娠がきっかけでワクチン接種の重要性を認識する男性などが登場する。

 風疹は、妊娠初期の女性がかかると赤ちゃんに難聴や心臓病などの障害が起きる恐れがあるが、国は当初、女性だけをワクチン接種の対象とし、昭和54年4月1日以前に生まれた男性には接種機会がなかった。

 漫画は、そうしたことを説明した上で、「先天性風疹症候群は注射1本で防げる障害なのだ」と強調する。

 ネットでの無料公開の反響は大きかった。講談社によると、公開から24時間で100万ページビュー(PV)(3話合計)を突破。ツイッターやフェイスブックなどのSNS(会員制交流サイト)でも拡散された。同社幹部は「(公開は)現場の自主的な判断。良い試みだった」としたうえで、「漫画だからこそ、構えることなくワクチン接種の必要性が理解できる」と意義を語った。

 無料公開の理由について、コミックDAYS編集部は「風疹は注射一本で防げる病です。風疹が流行しているニュースを見て、一人でも多くの方に予防接種を受けてほしいという思いから、無料で公開することにしました」とコメントした。

■4大誌が“団結”

 今年7月の西日本豪雨の際、集英社は「週刊少年ジャンプ」を無料でネットに公開した。同誌編集部は公式サイトで、「被災地を中心に、配送が大幅に遅れる、あるいはお届けできない状況」が続くための緊急措置と説明した。

 他誌も後に続いた。講談社は「週刊少年マガジン」、小学館は「週刊少年サンデー」と「月刊コロコロコミック」、秋田書店も「週刊少年チャンピオン」をそれぞれ無料でネットに公開した。

 9月の北海道地震の際も、道内の読者から多くの「雑誌が読めなかった」との声が寄せられたため、講談社では「コミックDAYS」が緊急対応を実施。「ヤングマガジン」▽「モーニング」▽「アフタヌーン」▽「イブニング」▽「EKiss」▽「BE・LOVE」-の6誌の最新号を期間限定で無料公開した。

 スマートフォンとタブレットの普及に伴い、漫画閲覧アプリケーションや電子書籍サービスを使って漫画を読む人は年々増えている。若年層には、スマホで漫画を読む習慣が根づきつつある。大手出版社幹部は「つらい時期だからこそ漫画を読みたいという被災者の方々の声は多い。漫画だからこそできる“社会貢献”の形を意識している」と話している。(文化部 本間英士)

■コウノドリ

 産科を舞台に、妊娠や出産をめぐる医療現場を描いた漫画。作者は鈴ノ木(すずのき)ユウさん。平成25年から週刊漫画誌「モーニング」(講談社)で連載中。出産を控えた女性や家族、懸命に生きようとする子供たちの姿を丁寧に描く作風が読者の支持を集め、これまでに2度テレビドラマ化された。

最終更新:11/8(木) 9:38
産経新聞

あなたにおすすめの記事