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<アスベスト問題>資格も講習も不要の「素人調査OK」がようやく是正へ 専門家育成大丈夫?

11/8(木) 11:31配信

アジアプレス・ネットワーク

建物などのアスベスト調査について新たな講習制度を創設するという。その裏側には何があるのか(井部正之/アジアプレス)

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◆石綿「素人調査OK」の異常

「石綿含有建材の総合的な知識を有する専門家の育成を推進します」

10月23日午後、厚生労働省と国土交通省、環境省はこんな文言とともに、建物の改修・解体時にアスベスト建材を調査する「専門家」を育成する講習制度を3省で連携して創設すると一斉に発表した。

わが国では2005年7月の労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)施行以降、建物などの改修・解体前にアスベストを含む建材がないか調査する義務が設けられている。ところが、アスベスト調査を行う者の資格規定や講習受講義務は法的位置づけがない。その結果、建物のアスベスト調査はどんな素人が調べてもよいという異常な状況がすでに13年にわたって続いている。

素人調査が法的に許されている以上、アスベストの見逃しが日常的に起きる。これがずさんな建物解体が続く原因の1つである。

その改善を目的として、3省が発表したのが今回の講習制度である。

建物のアスベスト調査については、総務省から勧告を受けた国交省が独自に2013年7月に創設した「中立かつ公正に正確な調査」を行うことができる「建築物石綿含有建材調査者」の育成を目的とした講習制度があり、普及を図ってきた。

しかし、この講習制度は、建物の通常使用時における調査に限定。吹き付けアスベストなど「レベル1」建材やアスベスト含有保温材・断熱材など「レベル2」建材の判別方法のみを講習していた。つまり、建物の改修・解体時に必要となる事前調査のありかたや様々な種類が存在する「レベル3」建材の判別方法については対象外としてきた。

今回厚労・国交・環境の3省は国交省の調査者制度を下敷きに、建物の改修・解体時の事前調査も対象としたうえで、レベル3建材の判別についても講習する仕組みとして新たに3省共管の講習規程として定めた。

ただし、新たな講習規定では従来からの「建築物石綿含有建材調査者」を名称変更した「特定建築物石綿含有建材調査者」に加えて、新たに実地研修と口述試験を省いた「建築物石綿含有建材調査者」を設けた。

厚労省は今回の講習規程告示の意義として、上記の新「調査者」を設けて調査のすそ野を広げたことに加え、石綿則などで定める石綿作業主任者が追加要件なしに新「調査者」講習の受講が可能となったことを挙げる。従来の特定「調査者」講習を受講する場合はこれまで調査についてなんら講習も受けないまま5年間現場実務に就かなくてはならず、「不合理だった」と同省化学物質対策課は指摘する。

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