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「何やってもダメだがや」 住民投票”不成立”のまち 愛知・高浜市ルポ(上)

11/8(木) 11:40配信

丹波新聞

 市名を「丹波篠山市」にするか否かを巡って18日に住民投票が実施される兵庫県篠山市。2008年から続く市名変更問題に白黒つけるものとして期待されているが、「投票率が50%に達しないと開票されない」という条例規定が不安も生んでいる。今から2年前の2016年11月、公共施設の解体を巡って、篠山市と同様、住民らが署名を集めて市に実施を請求した住民投票が行われたものの、50%の壁を超えられずに不成立となったまちがある。なぜ住民投票が起き、なぜ”失敗”したのか、そして、その後、まちはどうなったのか。投票の題材こそ違えど、今回の篠山市とよく似た経緯をたどった愛知県高浜市を訪れた。

公民館解体巡り反対運動

 「『何やってもダメだがや』。住民投票が不成立に終わってから、私の周りではそんな声が聞こえる。それから『そんなこともあったな』って。1年も過ぎると忘れてしまう人もいるね」

 高浜市初の住民投票を実現させた「高浜の住民自治をめざす会」の会長を務める牧信儀さん(69)=同市芳川町=が苦虫をかみ潰したような表情で漏らした。

 愛知県中部、人口約4万8000人のまちで実施された住民投票は、市内唯一のホールを備えた中央公民館の取り壊しの是非を問うものだった。

 市は2014年、既存の公共施設の統廃合や複合化をまとめた基本計画の一環として、老朽化を理由に中央公民館も解体することを決めた。

 当初は2020年に小学校の体育館を改築し、ホール機能を持たせた上で取り壊すことにしていたが、市内にある刈谷豊田総合病院高浜分院が同じく老朽化を理由に移転・新築を計画したことから、15年、4年前倒しして16年に解体し、病院の移転先にすることになった。

 市は市内各地で説明会を開催。もともと公民館の取り壊しを決めていたことや、今後も修繕などの費用が発生すること、ホールは市内の代替施設の利用などを掲げた。

 その後、16年3月には市議会定例会で解体が賛成多数で議決された。

 この市の動きを「拙速」「強硬」と捉えたのが、町内会長を務めていた牧さんや、副会長の矢野義幸さん(68)=同。矢野さんは説明会で、1980年に建設された公民館について、「まだ使用できるのにもったいないのではないか」などと訴えたが、「市長と議会で決めることだと言われた」と振り返る。

 この説明会でのやりとりの後、「取り壊し反対」の活動を開始。公民館の取り壊しが決まり、普段、発表会などを開いていた吹奏楽部の高校生らが落胆していることも背中を押したという。

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最終更新:11/8(木) 11:40
丹波新聞

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