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住宅密集地の障がい者施設「グッドデザイン賞」 利用者と住民”普通”に交流/兵庫・篠山市

11/8(木) 11:52配信

丹波新聞

 兵庫県篠山市北新町の障がい者施設とその取り組みが、公益財団法人・日本デザイン振興会が主催する今年度の「グッドデザイン賞」を受賞した。住宅が密集する中心市街地にあって、障がいのある人と地域の人がゆるやかに交流し、障がい者も健常者も区別されることなく生活を共にする「ノーマライゼーション」、端的に言えば「普通の暮らしで幸せに」という考えを体現する施設として評価。関係者らは、「近隣の人たちの理解なしにはなしえない賞で、地域全体が受賞したようなもの。取り組みを全国の人に知ってもらうきっかけになれば」と喜んでいる。

利用者「ただいま」スタッフ「おかえり」

 花に、絵画に、ピアノまで。モダンで居心地の良い空間の中、リビングで机を囲んで食事をする利用者や入所者、スタッフらは家族のよう。そして、施設にやってくる利用者らが、「ただいま」と言えば、スタッフは、「おかえり」と出迎える。

 施設は、障がいのある人の短期入所施設「みずほの家」(定員7人)と、知的障がい者のグループホーム「ななつ星」(同6人)。ともに国史跡・篠山城跡のすぐ近くの城下町にあり、”キャッスルビュー”の好立地だ。

 工業製品や地域づくりなど、さまざまな分野があり、61年の歴史を持つグッドデザイン賞のうち、「地域・コミュニティづくり部門」で受賞。両施設を運営する株式会社「みずほ」と、施設を設計・施工した株式会社「吉住工務店」(丹波市春日町)が共同で受賞した。

 2015年オープンの「みずほの家」は「みずほ」の会長を務める山中信彦さん(62)の元自宅。隣接する「ななつ星」も、17年に山中さんの両親が暮らした家の跡地に建設した。

 施設建設のきっかけは、生後間もなく重度の脳性麻痺となり、09年に24歳の若さで亡くなった長女の瑞穂さんの存在だった。

24歳で他界、娘への思い形に

 山中さんは、瑞穂さんを通して障がい者福祉を考えるようになり、医療ケア付きの小規模作業所「紙ふうせん」、NPO法人「いぬいふくし村」を設立するなど、娘も含めた障がい者の社会参加を進めてきた。

 その後、瑞穂さんを育てた経験から、妻の泰子さん(63)や長男・信人さん(37)、次男・祥平さん(34)とともに、「障がいのある人も、その家族もくつろげる時間を」と、娘と暮らした家を改装した施設を開設した。

 山中さんらの思いを形にしたのが吉住工務店。「みずほの家」の改装には、段差をなくしたり、壁を厚くしたりするなど、家庭的な雰囲気を残ししつつも、施設として再生するように努めた。また、「ななつ星」は、城下町の街並みと調和するように漆喰風の外観にしたり、入所者が暮らす部屋や廊下、階段などを国の基準以上に広くするなど、施設としての機能と居心地の良い空間を共存させた。

 住民と利用者らがあいさつを交わしたり、住民も参加してのコンサートも開かれるなど、住宅密集地にありながら、地域の理解が得られていることについて、山中さんは、「24年間、ここで暮らした娘の存在が一番」と感謝する。

 「普通」であることが評価されてのグッドデザイン賞。「みずほ」の社長を務める信人さんは、「すばらしい賞でとてもうれしい。地域のみなさんと共に受賞したと思います」と言い、「吉住工務店」の吉住正基社長(42)は、「受賞が、山中さんたちの活動をたくさんの人に知ってもらうきっかけになれば」と話している。

最終更新:11/8(木) 12:04
丹波新聞

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