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小柄な女子高生クライマー 幕張総合高・西田朱李(18) 【Chiba Sports ファイター】

11/8(木) 11:33配信

千葉日報オンライン

 身長152センチ。握力も30ほどで小柄な体格だが、十数メートルの壁を物おじせず登っていく。建物の4階ほどの高さだ。「全然怖くなんかないですよ。頂上から下を見たときの達成感はすごいですから」。18歳の高校生は無邪気な笑顔を見せた。

 中学3年でアジアユース選手権のリード種目で優勝。高校ではJOCジュニアオリンピックカップで同種目2連覇と、伸び盛りだ。クライミング競技。友人に熱中するスポーツを答えても「数年前までは伝わらなかった」というが、今は違う。五輪という高く大きな目標に向け、一歩ずつ登っている。

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 競技との出合いは「マザー牧場」だった。小学5年時の家族旅行。興味を持ったのは動物でも花畑でもなく、壁。横へ長く延びるボルダリング用のウォールを時間いっぱい登って遊んだ。「これがやりたい」。両親を説得し、専用の壁がある津田沼の「ヨシキスポーツ」で本格的に始めた。

 2歳から続けていた器械体操を辞め、中学からは週5日で練習。「大会で記録が出るたびにもっと上にいきたいと思った。つらいというより楽しかったし、結果を残したいと思うようになった」。急いで学校から帰ると、県内外の練習場で壁を4、5時間も登った。

 3年時に海外で初めて獲得した金メダルは、何度も見返し喜びに浸った。「これからもっと楽しくなる-」。しかし、待っていたのは挫折の日々だった。

 高校入学後、成績が振るわない。厳しい練習を重ねても表彰台からは遠ざかった。「体も変わって、成長があり体重も増えた。トレーニングを変えなきゃいけなかったが、うまく切り替えられなくて。すごくつらかった」。それでも、「辞める」という選択肢はなかった。

 原点であり、純粋な「楽しさ」を常に保った。一方で得意分野のリードのほか、ボルダリングなど他種目の練習も意欲的に取り組んだ。陸上での体幹トレーニングもメニューに追加。輝きを取り戻そうと一心不乱な毎日を過ごした。2年夏のJOCは、強豪ライバルたちを押しのけ優勝。「今までやってきた努力がやっと実った」と笑顔の復活を遂げた。

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 手足を駆使するため長身選手が有利になるが、「小柄でも戦える」ことを証明した。「戦略パターンが広がる」と、他者とは異なるルートを通れたり、小さなホールドもつかんで登れるのは強みだ。「鉄棒と同じで、手だけに負担をかけては登れない。全身の使い方とか持久力が体操と似ている」と他者にはない経験も生きる。

 中学、高校とクライミングに青春を燃やした。「練習ばかりだけど、幕総名物の文化祭は楽しみましたよ。でも体育祭の応援団とか野球応援もやりかったかなあ」。女子高生らしい回答の後に、アスリートの表情へ切り替え将来像を語った。「夢はオリンピック出場。東京でもその先でもいい。いつか、必ず」。目指す場所は、もっと上だ。

 (小川洋平)

◇にしだ・しゅり 2000年10月15日生まれ。千葉市花見川区出身。畑小-花園中-幕張総合高3年。東京大会から加わるクライミングで五輪出場を目指す。得意種目は設定されたコースでの到達高度を競う「リード」。試合前は「K-POPの曲を聞いてテンションを高める」。千葉県ユースクライミングクラブ所属。152センチ。B型。

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