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不動産向け貸出残高が「バブル超え」 一体何が起きているのか

11/8(木) 18:00配信

THE PAGE

 不動産業向けの貸出残高が過去最高を更新し、バブル期を上回る水準です。その背景には何があるのか。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。

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 首都圏のマンション価格が高騰するなど、不動産バブルの発生を意識させる話やデータが増えてきました。そうした状況の下、不動産向け貸出残高は過去最高を更新し、バブル期を大幅に上回っています。経済規模対比、すなわち不動産向け貸出残高の国内総生産(GDP)比をみても、目下の水準は過去最高付近にあり、かつトレンドから大幅に上方乖離しています。最近は新規の貸出が抑制されつつあることから増加ペースは幾分鈍ってきましたが、それでも増加傾向に変化はありません。

 ところで「不動産向け貸し出しが過去最高」と聞いて、それに違和感を覚える読者も多いと思います。タワーマンションやオフィスビル併設の大規模商業施設の開発が進んでいる一方、不動産価格は多くの地域でバブル期の水準を大幅に下回っていますから、どういった理由で借入が増えているのだろうとの疑問が浮かびます。

 これについて日銀は、過去数年、不動産賃貸業向けの貸し出しの存在感が増した結果として(不動産向け貸し出し全体の)貸し出し期間が長期化したと分析しています。

 一口に不動産向け貸し出しと言っても、その形態は様々です。いわゆる不動産デベロッパーが比較的短期の借入を活用するのに対して、賃貸業を営むためのアパートローン等は長期の借入に依存するという特徴があります。バブル期に多くみられた前者の取り引きでは、用地取得と建物建設のために借り入れをした後、その物件が売れるとその時点で借入金を返済するため、経済全体に積み上がる貸出の総額は膨れにくかったという事情がありました(ただし、回転速度は高速)。一方、アパートローン等の不動産賃貸向け貸出は月々の賃料収入を返済原資とするため、返済期間が長期にわたります。したがって、経済全体に積み上がる貸出の総額が膨らむ傾向にあります。つまるところ、相続税対策や資産運用目的で賃貸経営を営む主体が増えたため、不動産貸出し残高が伸びているというわけです。

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最終更新:11/8(木) 18:00
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