ここから本文です

再現可能エネルギー普及の鍵は貯蔵コスト。Energy Vaultが答を知っている

11/8(木) 14:56配信

TechCrunch Japan

ソーラーエネルギーや風力エネルギーが化石燃料エネルギーより安く作れるようになった今、再生可能エネルギーの普及にとって唯一残る問題は、作られたエネルギーの貯蔵に必要なコストだ。

現在再生可能エネルギー100メガワット(約60万世帯を賄うのに十分)を貯蔵するためには、Teslaが作っているようなバッテリーを約6560万ドル分大量に揃えるか、ダムを作り落下する水でタービンを回す巨大揚水発電所(通常100メガワット以上の能力を持つ)に頼るしかない。

Bill GrossのIdealabというカリフォルニア州パサディナのインキュベーター出身のEnergy Vaultは、揚水発電の原理に基づく新しいテクノロジーを開発した。同社によると、そのテクノロジーはエネルギー貯蔵コストを今の1桁以下に抑えることが可能で、再生可能エネルギーのコスト効果を一日中毎日高くすることができる。

気候変動の懸念が増すにつれ、再生可能エネルギーの魅力とコスト効果を高める方法を見つけることは、優れたビジネスチャンスであるだけではない――全地球の優先課題だ。


Engergy Vaultのテクノロジーは、33階建ての高さで6本のアームを持つクレーンからなり、ブームを延ばすとフットボール場の長さに近くになる(約87ヤード)。そのクレーンは5000個の巨大なコンクリートブロックが囲まれていて、重量は全体で約35トンになる。

「通常これを風力あるいはソーラー発電所の近くに作る」とEnergy VaultのCEO Robert Piconiは言う。「これは都市の真ん中に置くものではない」。

クレーンは、ソーラーや風力で発電されたエネルギーを蓄積、あるいは電力網に放つためにセメントブロックを動かすソフトウェア・システムによって制御される。

Piconiによると、同社のシステムはエネルギー容量公称35メガワット、ピーク容量4メガワットの能力を持つ。立ち上がり時間は最短1ミリ秒で、2.9秒で100%のパワーを得ることができる。

システムの充放電効率は約90%で、この技術は耐用年限約30年の極めて耐久性の高い材質による力学的エネルギーに依存しているためエネルギー損失はない。

このすべてを実現するシステムの価格は7~800万ドル程度だとPiconiは言う。システムの永続性をさらに高めるのが、埋め立てに使うしかないリサイクルコンクリートを使っていることだ
――新たなセメント工事は不要だ。

すでにEnergy Vaultは、デモシステムをスイスのルガーノ本社近くのビアシカに建設済みだ。このデモンストレーション施設は、同社初の顧客であるインド最大の総合電力会社The Tata Power Company Limitedが、2019年までに35 MWh のEnergy Vaultシステムを構築する契約に一役買ったはずだ。

「エネルギー貯蔵法のイノベーションは、再生可能エネルギーを加速し、世界の増え続けるエネルギー需要を満たす化石燃料に代わる主要供給源とする最大最速の方法だ」とEnergy Vaultの共同ファインダーでIdealabのファウンダーBill Grossが言った。「Energy Vaultがこの画期的テクノロジーを市場に送り出すために役立てることを大いに喜んでいる」

事実、Piconiによると、今後2年間に同社顧客がこのシステムを使って作る設備の総貯蔵容量は500メガワットから1ギガワットに上るとEvergy Vaultは予想している。

「われわれにはこうした設備を作る顧客が各大陸にいる」と彼は言った。

Danaherの幹部だったPiconiは、12年前にIdealabのファウンダーだったGrossが再生可能エネルギー技術を手がけ始めた頃に出会った。ふたりは連絡を取り合い、10年近く協力しあった後、Energy Vaultの設立を真剣に考えるようになった。

そして2017年、PiconiとGross、そして共同ファウンダー、最高技術責任者のAndrea Pedrettの三人はEnergy Vault斬新なエネルギー貯蔵の方法を思いついた。i

「数年前、エネルギー貯蔵が重要になることを彼ははっきりと知っていた」とPiconiは言った。
三人は揚水発電の効率に注目し、力学的エネルギーを使ってそのプロセスを真似る方法についてブレインストーミングを始めた。「まず鉄塔を考えたが高価すぎた。塔の上に水を汲み上げることを考えたが、効率に問題があった」とPiconiは言った。「そして、コンクリートブロックとクレーンを思いついた」

コンクリートは材料コストの点で重要であり、セメント製造に関わるエネルギー消費と公害を考え、チームはリサイクルセメントを使い、彼らのエネルギー貯蔵システムに使うブロックを作ることにした。

そして、世界最大手のセメント製造会社Cemexが、Energy Vaultにパートナーとして加わった。

Energy Vaultはすでにいくつかの「シード」ラウンドで資金を調達し、テクノロジー開発やスイスのプロトタイプの建設・運用に充てている。

「Energy Vaultのチームは画期的なプラットフォームを開発した。われわはこのチームを支援し、環境効率とコスト効率の高い実用性の高いエネルギー貯蔵ソリューションを提供することを大いに楽しみにしている」とCemexのグローバル R&D・知財権の責任者r. David Zampiniが言った。「われわれは資源が責任をもって使われる未来を可能にするという共通認識を持っている。それはCemexの維持可能開発戦略の核心でもある」

(翻訳:Nob Takahashi / facebook )

Jonathan Shieber

最終更新:11/8(木) 14:56
TechCrunch Japan

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ