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米中間選挙 下院は民主党が勝利 ねじれ議会で経済に暗雲…

11/9(金) 16:56配信

夕刊フジ

 【米中熱戦と日本の針路】

 米中間選挙(米国時間6日投開票)は、上院では、ドナルド・トランプ大統領の与党・共和党が勝利し、下院では、野党・民主党が勝利した。選挙結果から、米国政治の動向を予測してみよう。

 まず、民主党が多数派となった下院が今後、「反トランプ運動の拠点」となるだろう。今回当選した民主党下院議員の顔ぶれをみると、LGBT(性的少数者)や、イスラム教徒の女性など、非常に反トランプのイデオロギー色が強い。別の言い方をすれば、民主党の中でも「極端なリベラル派」が多数当選している。

 米労働省が、投開票直前の2日に発表した10月の雇用統計によれば、米国の失業率は前月から横ばいの3・7%で、1969年以来、49年ぶりの低水準を記録している。平均時給は、前年同月比で3・1%も上昇し、10年ぶりの高い伸びを示した。

 共和党側は、こうした好調な「経済の実績」を訴えて選挙戦を戦ったが、民主党側はトランプ氏への個人的嫌悪感を盛り上げ、「反トランプ・イデオロギー」を全面的に出して戦ったといえる。

 下院には「予算案審議の優先権」がある。トランプ政権が今後、順調な経済成長のための政策を実行しようとしても、下院がこれに抵抗して実行が難しくなるだろう。重箱の隅を突くような「ロシア・ゲート」捜査は続き、下院全体が機能不全に陥るに違いない。

 民主党は、トランプ氏に対する弾劾プロセスを開始する可能性が濃厚だ。こうなると下院はまったく麻痺状態に陥ってしまう。

 一方、上院には「外交の優先権」があるので、トランプ政権は従来の外交方針を維持できるだろう。これは日本にとっては良いニュースである。チャイナ(中国)の帝国主義を、最大の脅威と認識するトランプ外交が継続するからだ。

 リベラル色の強い下院民主党が、国民生活を無視してトランプ氏の引きずり降ろしに狂奔すれば、むしろ2020年大統領選でのトランプ氏再選を確実にするのではないか。国民生活の向上を忘れた民主党は、次期大統領選では、有権者の強い反発を呼び起こすことになるからだ。

 下院の抵抗で米経済の成長が頭打ちになれば、これは日本経済にも悪影響を与える。安倍晋三政権としては、より刺激的な経済政策をとる必要性がある。

 下院で民主党が勝利して、最も喜んでいる外国は中国だろう。これで、トランプ政権の足を引っ張ることができるからだ。トランプ氏は早くも「超党派的協力」を呼びかけたが、民主党側は受け入れないだろう。米国政治は、大きな混乱期に突入したといえる。

 トランプ革命は、米国を再生させつつあったが、反対する勢力が頑固な抵抗を見せている。

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオなどで活躍する。著書に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『太平洋戦争の大嘘』(ダイレクト出版)など多数。

最終更新:11/9(金) 17:25
夕刊フジ

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